(前編はこちらです)
次にNASを紹介しよう。NASは“ファイルサーバ”をその由来とした専用ストレージである。ファイルサーバやNASを用いて複数のコンピュータ間で“ファイル”を共有することが可能だが、ここで使用されるプロトコルがNFS(Network File System)、SMB(Server Messages Block)/CIFS(Common Internet File System)である。詳細は連載の第4回で紹介するが、これらはTCP(もしくはUDP)/IP上のアプリケーションであり、httpやSMTPなどと同様、LAN(イーサネット)で通信することができる(図3)。またファイル共有を目的としているため、複数のユーザー(クライアント)が同一のファイルにアクセスするための仕組みを提供している。NASについては下記の3点を理解しておいていただきたい。
- NASはファイルサーバを由来とした“ストレージ”である
- NASとクライアントは、IP上で動作するプロトコルで通信している
- NASは“ファイルの共有”を目的としている
現在、SANやNASはネットワークストレージ市場ではもはや主流である。SAN接続されたストレージ、NASは、日本国内においても外付け型ストレージ市場の過半数を占めるまでに至っている。
SANのメリットとデメリット
DASとSANは対比する概念として比較されることが多いが、その本質的な違いはコンピュータとストレージの“関係性”の違いにある。DASの場合、コンピュータとストレージの関係は「1:1」あるいは「1:n」である。一方、SANではコンピュータとストレージの間をネットワークが介在することで、コンピュータとストレージの関係が「m:n」になる(図4)。これによって、コンピュータとストレージを“切り離して”管理することができるようになり、インフラ管理における柔軟性を高めることができる。
たとえば「ストレージはそのままにサーバだけをより高パフォーマンスにアップグレードする」「格納するデータの要件に合わせてストレージを使い分ける」といったことが可能になる。また、「ストレージの共有が可能」「長距離接続が可能」といった特性を生かして、バックアップの統合や災害復旧(Disaster Recovery:DR)のインフラとしてもSANを使用することが多い。最近はブレードサーバの普及やサーバ仮想化技術の進展によって、物理筐体を超えてデータを移動するような使用形態が増えてきている。このような環境では、インフラとしてSANは必須である。