久々の大ニュースが飛び込んできた。OracleがSun Microsystemsを買収するというのだ。このことがそれぞれの企業にどんな意味があるのか、あるいはIT業界全体にどのような意味を持つのかは別の記事に任せるとして、ここではOracleとSun Microsystemsを含めた昔話をしてみよう。
UNIXと共に歩んだサン・マイクロシステムズ
Sun Microsystemsの歴史はUNIXと共にあった。Sunという名称はStanford University Networkに由来する。スタンフォード大学構内のネットワーク用ワークステーションを開発したのが始まりだ。
Sun Microsystems設立時にはカリフォルニア大学バークレイ校(UCB)でUNIXを開発していたBill Joyを招いた。Joyは、UNIXの標準エディタ「vi」やコマンドインタプリタ「Cシェル」(csh)の開発で有名である。viは特異なコマンド体系により初心者を寄せ付けない面もあるが、慣れれば極めて効率よく編集できる優れたエディタである。筆者も一時はvi派だった。
Sun MicrosystemsはUNIXに対する貢献を続けた。ネットワーク認証システムであるNIS(当初はYellow Pageと呼ばれていた)や、ネットワークファイルシステム(NFS)もSunが開発し、ライセンスしたものである。
研究者を中心に広く使われていたBSD系UNIXを、System V系と統一したことも評価されるべきだろう(実体はSystem Vに切り替えて、BSDの機能を一部追加した)。SunがBSDからSystem V系のUNIXに切り替えたことで、業界の流れはBSDからSystem Vに一気に変わったように記憶している。
Javaがもたらした無償の「利益」
Javaについてはどうだろう。
そもそも言語仕様は著作権などで保護されない。Java仮想マシンも無償公開されている。独自実装だったMicrosoft Java VMは契約違反で提訴され、結局MicrosoftはWindowsからJava VMを取り除いた。