2009年のJava開発者向けイベント「2009 JavaOne Conference」が6月2日から開催された。初日の基調講演にSun Microsystems社長兼最高経営責任者(CEO)のJonathan Schwaltz氏が登壇して、Javaが世界中に普及している技術であることを強調した。
Schwaltz氏によれば、PCのデスクトップユーザーの10億人がJavaを活用しているという。また、当然企業向けでもJavaが使われているとして、accentureやOracle、IBM、Deloitte、SAPといったFortune 500に入る大企業でも使われていることを説明している。
今回のJavaOne開催にあわせて同社がデスクトップ向けのJava開発キット最新版となる「Java SE 7 JDK」のプレビュー版と企業向けのソフトウェア開発キットの最新版である「Java EE 6 SDK」のプレビュー版を公開していることを、Schwaltz氏は説明した。
JAVA IN EVERY ENTERPRISE
Javaがさまざまなところで活用されていることの証としてSchwaltz氏は、オークションサイト「ebay」のバイスプレジデントであるJames Barrese氏(アーキテクチャ、プラットフォームなどを担当)を登壇させた。Barrese氏は、ebayで「イリノイ州の形をしたコーンフレークに1350ドルの値が付いた」こと、あるいは「(著名投資家である)Warren Buffet氏との昼食に210万ドルの値が付いた」ことなどを説明。そうしたebayでは2008年に600億ドルが売買されたと説明している。そのebayの基盤としてJavaが活用されているとしている。
続いてSchwaltz氏は、Javaが携帯電話を中心としたモバイル端末にも活用されており、その数は26億台以上になると明らかにした。その一端として、欧米ではビジネスに欠かせないスマートフォンとなっている「BlackBerry」を開発したResearch In MotionのシニアバイスプレジデントであるAlan Brenner氏を登壇させた。Brenner氏によれば、BlackBerryの一連の動きを支えているのがJavaだと説明している。
またJavaは個人向けの家電製品にも使われており、テレビのセットトップボックス(STB)4000万台で活用されているという。Schwaltz氏は、Sony Pictures Home Entertainmentの副社長であるDon Eklund氏を登壇させている。同社では、Blu-ray Discプレーヤーに高精細画像をネット経由でダウンロードできるサービス「BD-Live」を展開しているが、そのサービスにJavaを使っていることをEklund氏は明らかにしている。
また通信事業者のVerizon Wirelessの社長兼CEOであるLowell McAdam氏は、同社のネットワークに組み込み機器向けJavaである「Java ME」を活用するとともに、同社の通信網を利用するエンドユーザーに向けてもJavaをベースにしたサービスやアプリケーションを提供していることを説明した。
大規模システムでもJavaが活用されている証としてSchwaltz氏は、シカゴオプション取引所(Chicago Board Options Exchange:CBOE)のインフラ部分を担当するPaul Ciciora氏を壇上に上げた。Ciciora氏は、CBOEの取引が1秒間に30万トランザクション、1日で25億というトランザクションを処理しており、その基盤としてJavaが使われていると説明している。
JAVA=INNOVATION
このようにSchwaltz氏は、「JAVA=EVERYWHERE」という言葉でJavaがさまざまなシーンで活用されていることを強調している。そしてその後で同氏は「JAVA=INNOVATION」という言葉で、Javaが技術的革新を続けていると力説している。その代表格であるのが、Java仮想マシン(JVM)の上で動画やアニメ、音声といったリッチコンテンツのインターフェースを処理する基盤となる「JavaFX」だ。