250万円の出産手当からバースデー制度まで--「あったらいいな」を実現する企業:サイブリッジ - (page 3)

遠竹智寿子

2009-06-22 14:58

 また、サイブリッジでは休暇制度や帰宅ルールもユニークで、本人や配偶者、子供の誕生日には午後5時に帰宅するという「ハッピーバースデイ制度」や、10月1日の「都民の日」(※)を会社の休日とする制度、水曜日はノー残業とし、午後7時に全員強制帰宅させる制度などが用意されています。

 社員は大変若く、今はまだ子供がいる社員も少ないサイブリッジですが、今後のことも見越して、「子供がいる人が働きやすい環境を整えておきたい、また、女性を積極的に採用したい」という気持ちから、出産祝いや休日制度を取り入れていると言います。

 「エンドレスなビジネスなので、週の中で強制的にでも息抜きできる日があったほうがいいと考え、水曜日を強制帰宅日と設定しました。また、何かイベントの時などは家族と時間を過ごしてもらいたいという気持ちから、ハッピーバースデイ制度も作りました」と水口社長。また、東京都で育った水口社長は10月1日の都民の日について「一般企業は休みにならないため、子供だけが休日となり、家で留守番役となることも少なくありません。せっかくなら子供と一緒の時間を過ごしてもらいたいという気持ちで会社を休日にしました」と説明します。

 現在では3人のお子さんの父親となっている水口社長ですが、若く新しい世代のアイデアに加えて、親としての視点が同社の制度を特徴づけるものとなっています。

※ 都民の日:東京都の条例で10月1日が都民の日として定められている

企業イメージを大切に

 会社設立当初から充実した制度やユニークな仕組みに目を向け、取り入れて来た理由はどこにあるのでしょうか。「働く社員に対する付加価値として設定したのはもちろんですが、他社との差別化を図りたいという狙いもありました。ウェブ系ベンチャー企業は多数存在していて、事業モデルの差別化が大変難しい。対外的にも訴求できるとしたら、やはり『企業イメージ』は大きいですよね」と水口社長。新規取り組みを導入する際には「便利性とパブリシティ効果があるかどうか」を優先して検討すると言います。

 また興味深かったのは、社内で「名前は『さん』づけ」、「敬語を使う」、「一人称は『私』や『自分』を使う」といったことをルール化していることです。「体外的に、ベンチャー企業としてのスピード感や斬新さだけでなく、会社としての安心感を持ってもらいたいためです。普段の姿勢や態度は出てしまうものですし、『キチンとしている』という企業イメージは、若い社長だからとかベンチャーだからというフィルターを除いてくれるものです。技術力だけでは駄目で、日常の取り組みがアピールとなって、大手企業の競合として肩を並べるだけの付加価値となってくれればと考えています」

価値が利益に結びつく

 今回、サイブリッジスタイルの具体的な内容を直接お聞きして、社員の成長を考えた環境の整備やさまざまな制度への取り組み、そしてその情報公開の姿勢が、最終的には会社の売りとなり、ライバルとの差別化に有効に働いていると感じました。

 最後に会社が狙う次の一歩について聞いてみました。「ウェブメディアとして位置付けを強めていきたい。分野で言えば、不況にも強い教育、医療、公共事業などの分野を強化したいと考えています。サイブリッジは、ベンチャーとして爆発的に成長したというよりは、着実なところを歩んできているので、これからもその路線で行くつもりです。実は、会社が目指すものと言っても、もともと家族を養う目的で作った会社で、ビジョンを立てても後付けっぽい気がしているんです(笑)。でも、会社として基本にあるのは、利益を出し続けること。売上ではなく利益です。市場経済においては、お客さんや社会に対して提供する価値が利益という形で返ってくるわけですよね。会社として、キチンと利益が出る仕事をする、その中でより大きな規模を目指したいと思っています」

 それでは、今回はこの辺で! あなたの会社のユニークな制度についての情報も、ぜひお寄せくださいね。

「あったらいいな」を実現する企業:ファイル8
社名サイブリッジ
事業内容ウェブインテグレーション、インターネット広告、インターネットメディア等の事業
設立2004年5月
従業員数34名(2009年4月)
資本金2640万円
本社東京

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