データ総量23TB--BIでリアルタイムなマーケティングシステムに刷新:資生堂

宍戸周夫(テラメディア) 2009年07月17日 19時00分

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 日本を代表する化粧品メーカーである資生堂は、マーケティングシステムを再構築した。業界を取り巻く環境が大きく変わり、マーケティング戦略にも新たな課題が浮上したからだ。先頃開催された「Oracle OpenWorld Tokyo」の講演から、同社のプロジェクトの背景を探る。

組織や制度改定に対応できるシステムを

 資生堂がマーケティングシステムを再構築した背景には、化粧品業界を取り巻く環境変化があった。

 「2003年ごろから競合他社の攻勢が強まり、ドラッグストアや通信販売など販売環境も変化してきました。それに対し、当然社内でもこうした時代の変化に即した制度や体制への改定が多発してきました」。同社の情報企画部、木村公紀氏の言葉だ。

 さらに、メガブランド構想への転換も求められた。時代の流れの中で同社のブランドも分散、小型化していた。変化への対応スピードが求められる時代に対応するため、システムそのものが足かせになってはならない。そこで浮上したのが、マーケティングシステムの統合だ。

 「たとえば北海道には従来、札幌、釧路、旭川に支社がありましたが、その営業力を強化するためにその3つの支社を統合、北海道支社としてヨコの連携、統合を行いました。また、地域の支社の上に営業本部を置くというようなタテの構造変更も発生しました。こうした動きへのシステム対応が求められるわけです。つまり、販社営業組織の再編や階層的構造変化への柔軟な対応が戦略的課題となりました」(木村氏)

 既存事業の商流変更や新規事業取り扱いへの対応力強化も課題となった。シャンプーやボディソープなどのトイレタリー製品を扱う販売会社(FT資生堂)で商流変更があった場合、それに対してもシステムが対応できないとマーケティング現場は追いついていけない。

 そこで同社は、マーケティングシステムを再構築するにあたり、次の5つの基本コンセプトを明確化した。(1)組織再編や取引制度改定にスピーディーで安価に対応可能なシステム、(2)統合することでリソースの有効活用と運用負荷軽減が実現できるシステム、(3)アプリケーションの集約、開発ツールの活用で業務の整流化、要件追加時の開発工数削減、(4)レガシーからの脱却とハードウェア保守費用の低減、(5)各種マスター類の整備――の5つである。

 このうち最後の各種マスター類は、特に得意先・取引先マスターや商品マスターが該当する。得意先マスターのコード体系が「担当事業所コード+店番号」となっていたため、北海道支社への再編ということが起きるとコードの再附番とデータ再作成が必要となったからだ。

 木村氏も「それまでのマーケティングシステムはIBMのレガシーシステムで構築していたため、属性の追加・変更や新たなシステム連携が困難な構成になっていました。また類似マスター群が多くエンドユーザーからは使いづらいシステムであり、内部統制への対応など、いくつかのの課題がありました」と指摘する。

 このように同社には、新たなマーケティングシステムを構築せざるを得ない状況があった。

SIerに新日鉄ソリューションズを選定

 結局、資生堂はマーケティングシステムを「Oracle DataBase」で再構築することになる。そのプロジェクトがスタートしたのは2006年4月である。きっかけになったのは、このタイミングで起きた資生堂の化粧品部門と、販売会社のFT資生堂が行っているトイレタリー部門での営業統合だった。

 当然、情報企画部はシステム統合を検討した。「しかし、関連するシステムが多岐にわたり、最低限のシステム連携に留めざるを得ませんでした。現場の営業マンが最低限の数字さえ見ることができればいいということで、完全な統合はできませんでした」(木村氏)。課題が残った。

 「このままではいけない」ということになり、翌5月に本格的なマーケティングシステムの刷新がスタートする。コンセプトの設計などを進め、2006年10月、マスター統合と販売管理システムの統合を主目的とした提案依頼書(RFP)を作成、ベンダーに提案を依頼した。そして翌11月には、新日鉄ソリューションズを開発ベンダーに選定する。この間の動きは早い。木村氏は同社を選定した理由をこう語る。

 「まず、今回のシステムのポイントであるマスター統合に関して、新日鉄ソリューションズさんは多数の知見をお持ちでした。また、非常に長いプロジェクトになる可能性がありましたので、決して途中で投げ出したりしないような、会社としての取り組みへの意気込みもポイントになりました」

 データベース(DB)には「Oracle Real Application Clusters 10g」(Oracle RAC)を採用した。High Availability構成に比べ、Oracle RACは資源が有効活用できるというメリットがあるという。同時に、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールは「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition」(BIEE)を採用している。これについて木村氏は「非常に高機能で、すべての要件に対しノンカスタマイズで構築できるというメリットがありました。また、DBもBIツールも同じベンダーという相性の良さ、親和性が期待できました。新日鉄ソリューションズとオラクルの強固なアライアンスも決め手になりましたね」という。

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