IDC Japanは7月28日、国内中堅中小企業のネットワーク関連商品に関する購買行動の調査結果を発表した。中堅中小企業は社風やICT投資に対する態度などから「ICT投資積極型」「ICT投資保守型」「社長ICT活用先行型」「ICT投資後進型」の4つの類型に分類され、それぞれネットワーク関連商品の購買行動に違いがあることがわかったという。
この調査は2009年1月に実施したもので、従業員数が30人から999人の企業1520社から回答を得た。調査対象のネットワーク関連商品は、固定WAN回線、携帯データ回線、データセンターサービス、セキュリティサービス、ネットワーク運用保守サービス、IP電話関連機器の5分野としている。
ICT投資に最も積極的な「ICT投資積極型」は売上高に占めるICT投資比率が高く、情報システム部門を中心に商品やベンダーについての情報収集や評価を積極的にする傾向がある。また「社長ICT活用先行型」は、社長のICTリテラシーは高いものの、企業としては必ずしもICTを戦略的に活用できていない層で、小規模企業に多いとのこと。
4類型の構成比を社長の年齢別にみると、社長の年齢が40代の中堅中小企業の43.2%が「ICT投資積極型」であるのに対し、社長が70代の企業では14.3%に留まり、中堅中小企業のICT投資は社長の影響が大きいとした。
また、WAN回線を導入した後、通信事業者に対してどのような関係を望むかについて尋ねたところ、「新商品/技術情報の案内」(27.4%)、「訪問による御用聞き」(22.6%)という要望と並んで、「連絡は不要」という回答も24.6%あり、中堅中小企業が必ずしも通信事業者との密な関係を望んでいないことも明らかになっている。
ただ、小規模企業は新商品/技術情報の案内よりも訪問による御用聞きを望む傾向が強いという結果となった。この調査結果は、通信事業者が小規模企業に対して一方的に自社の新商品/技術の紹介をするよりもユーザー企業の目線に立った働きかけをすることの重要性や、通信事業者が小規模企業に商品を納入後に足が遠のきがちな状況を示唆しているとIDC Japanは分析している。
また、同社シニアマーケットアナリストである小野陽子氏は「中堅中小企業市場では、市場を牽引するICT投資積極層とのコミュニケーションや社長のICT投資への意向を見極めることが重要である。また小規模企業に対しては、ユーザー企業の目線に立った営業活動が必要である」と述べている。