過去の過ちにとらわれていませんか? 懺悔室のススメ--田代センセーのメンタルテクニック(29)

田代真人(マイ・カウンセラー)

2009-09-03 08:00

 みなさんこんにちは! マイ・カウンセラーの田代です。まだまだ暑い日が続きますが、もう9月。この連載も半年を過ぎ、いよいよ終盤戦です。今回から3回にわたり、みなさんの人生の中で起こる事態にどのように対処することが最善の策なのか、どうすれば問題を乗り越えられるのか、それらの問題を乗り越えるためにどのように考えて自分の心理状態をコントロールすればよいのかについてお話ししたいと思います。

 まず自分自身の過去を振り返ってみてください。思わず懺悔したくなるようなことが誰にでもあると思います。時に、軽微ではあるけれども法的には犯罪行為に当たることをしてしまい、ずっと胸に秘めながら年を重ねていらっしゃる方もいることでしょう。ここでは、そのことの善し悪しを判断するつもりも糾弾するつもりもありません。

 弊社マイ・カウンセラーに寄せられる相談の中にも、そういった内容のものが少なくないのです。例えば、高校生の時に父親のお酒を隠れて少し飲んでしまったとか、兄弟ゲンカをして弟の顔に傷をつけてしまったとか……。確かに日本は法治国家ですから、法律を守らなければなりません。だからといって、先の例のようなことは誰にでも起こることなので、そのことで一生十字架を背負って生きていかなければならないわけでもないはずです。ただ、当事者にとっては、そのあんばいがわからないわけですね。わからないから、重く1人で思い悩んでしまうのです。

 懺悔という行為は、宗教的な観点から、自己の罪を告白して悔い改めるというものです。呼称はそれぞれの宗教によって異なりますが、自分自身で罪を認めて反省することは同じです。法治国家の法で裁かれるか否かの境界線は、軽微のものほどあいまいです。凶悪犯罪を犯したと思われる容疑者に対しては、別件で軽い犯罪でも厳格に適用され、逮捕・拘留されることがあります。しかし、時と場合によってはスピード違反を犯しても、その時の警察官が情状酌量してくれ、口頭注意のみで終わる場合もあります。

 人それぞれが犯す罪というものは、法によって裁かれなければならない重大なものから、個人が懺悔し、人それぞれ悔い改めることによって許される罪もあると考えたほうが世の中生きやすいのではないでしょうか。それが、軽微な罪であっても人によっては心に留まり、心の重しになってしまう場合もあります。そのような時、他人に告白することによって心が軽くなることもあります。

 といっても、誰にでも話せる内容ではない場合もあります。「とにかく誰かに相談したい。許しを請いたい。でも知り合いには相談したくない」――このような場合、例えばキリスト教のある宗派では、教会にある「懺悔室」のような小部屋で、牧師に対して罪を告白することができるそうです。そこは原則「匿名」で、お互いの顔が見えないように隠されています。そこで罪を告白して許しを得ることで、前向きに生きていけるわけです。

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