エンタープライズITのシンプル化を実現するための戦略を、Citrixでは「Power of One」としている。これは、「インフラを一度構築し、そのインフラを無限に利用して、どんな環境にいるユーザーに対してもさまざまなサービスやアプリケーションが提供できるようにすることだ」とTempleton氏。ネットワークの接続環境やデバイスに依存することなくさまざまなサービスが受けられる、これは仮想化技術によって実現できる環境のひとつだ。
ITのコンシューマー化は確実に進む
シンプル化に共通する考えとしてTempleton氏は、「ITのコンシューマー化」を挙げる。Gartnerでも今後10年間のエンタープライズITのトレンドとしてコンシューマー化が進むとしており、Templeton氏も「この流れはすでに日々起こっている」と話す。「仕事でAppleのiPhoneを使うユーザーが多いことも、ユーザーがシンプルなソリューションを求めていることも、コンシューマー化の一例だ」とTempleton氏。
Templeton氏は、世界で一番使われているアプリケーションが、ブラウザでも何でもなく銀行のATMであることを指摘する。「なぜこれほどATMが使われているのか。それはシンプルで価値があり、練習しなくても使いこなせるためだ。使うためにトレーニングが必要となるエンタープライズITとは対照的なシステムだが、今後エンタープライズITでもこうしたコンシューマーITのようなアプローチが必要になってくる」(Templeton氏)
Templeton氏は、このようなシンプル化およびコンシューマー化の流れは、今後のエンタープライズITを動かす核になると述べる。「Leonardo da Vinciでさえ、『シンプルであることこそ、最高の洗練さの表れだ』としている。人が『欲しい』と感じる思いと、人が『必要だ』と感じる思いを比べると、『欲しい』という思いの方が強いはずだ。シンプルさは、ユーザーが欲しいと感じているものなのだ」とTempleton氏は述べ、シンプルなシステムの重要性を説いた。