Automatic Storage Management(ASM)では機能拡張が行われ、従来からのデータベースファイルの配置最適化やディスク追加時の自動リバランスなどに加え、新たにファイルシステム領域の管理についても一元的に行えるようになった。またIn-Memory Parallel Queryは、近年普及している安価なサーバ向けマルチコアCPUや大容量メモリを活用し、従来高価なSMPシステムで行っていたパラレル検索をインメモリ実行できるテクノロジーだ。三澤氏によれば、データ圧縮技術とRACを組み合わせることで、1Tバイト超の実データをオンメモリ処理することも可能という。
そして、三澤氏が「まさに夢のような機能」と呼ぶのはOnline Application Upgradeである。これは、Oracle Database 11g R2上で動いているアプリケーションの更新やパッチ適応を、システム停止を行わずに実行できるもの。R2では「エディションベースのDB再定義」が可能となっており、アプリケーションは「エディション」と呼ばれる仮想的な領域を指定してDBに対してアクセスする。エディションは並行稼働が可能なため、新アプリ向けのエディションを新たに作成してDB更新作業を行った後、新アプリでの動作確認、DB切り替え作業をノンストップで行えるという。従来のバージョンでは、この作業を行うにあたって、アプリケーションを停止させるか、停止が許されない場合には、新システムを別に立てて並行稼働をさせる必要があり、非常に高コストな作業になっていたとする。またこの機能は、Oracleブランドのアプリケーションに限らず、11g R2上で動作しているアプリケーションであれば、どんなものでも利用できるという。

三澤氏は、これらのポイントについて「今回はデータベースの基本機能というよりも、データベースを核にしたITインフラをどうデザインし、コストを削減していくかを主眼に置いた機能を中心に紹介した。これは、今後のオラクルの方向性であり、他社とはまったく異なる、オラクルならではのアプローチだ」とした。

発表会では、三澤、遠藤の両氏が冗談交じりに「今回の“Release 2”がDatabase 11gの本命」と発言する場面があった。その本意は「品質を重視する日本のユーザーは、信頼性に対する疑念などから、新バージョンの最初のリリースをスキップする傾向があり、Release 2でようやくアップグレードや導入に踏み切るケースが多い」ということのようだ。こうした移行ユーザーを逃すことのないよう、日本オラクルでは2009年5月よりR2のベータプログラムを開始。エンドユーザー4社、パートナー15社の参加による検証をを続けてきたとする。ベータプログラムに参加したユーザー企業には、NTTコムウェアや三菱東京UFJ銀行などの大手顧客も含まれ、パートナーごと、ユーザーごとの徹底的な検証を続けてきたとする。
「Oracle Database 11g R2は、次世代のデータセンター、クラウドコンピューティングの基盤となる技術を提供できるものに仕上がったと考えている」(遠藤氏)
Oracle Database 11g R2の各エディションの価格については下表を参照。
エディション | Processorライセンス | Named Userライセンス |
---|---|---|
Oracle Database 11g Enterprise Edition | 542万1150円 |
10万8465円 |
Oracle Database 11g Standard Edition | 199万7310円 |
3万9900円 |
Oracle Database 11g Standard Edition One | 66万1920円 |
2万580円 |