ジャストシステムが12月4日より、「ホームページビルダー14」を出荷する。
いわゆる「ホームページ制作ツール」として、第1号製品が投入されたのは1995年。以来、今年で15年目を迎える人気ソフトウェアである。
この分野において、調査が開始された1999年以降、シェアトップを10年連続で維持。2008年12月から2009年9月までの販売本数シェアは79%(BCN調べ)。年間30万本以上が販売されるという大ベストセラーソフトだ。
もともと、ホームページビルダーが産声を上げたのは日本IBMの大和研究所であった。販売も日本IBMが行っていたが、2007年のホームページビルター12以降、ジャストシステムを通じても販売。2009年10月からは、日本IBMが直販していたものも、ジャストシステムからの販売へと完全移行している。開発およびサポートは日本IBM、販売およびマーケティングは、ジャストシステムという体制が構築されたのだ。
この「エンプラ徒然」というタイトルのコラムで、ホームページビルダーを取り扱うことに違和感を感じる読者がいるかもしれないが、実は、ホームページビルダー購入者は、いまや企業が過半数となっており、企業にとって欠かせないツールへと進化している。従来、個人向けツールの印象が強かっただけに、正直これには驚いた。
日本IBMによると、2004年の「ホームページビルダー9」では商用利用が28%であったのに対して、趣味などの利用は72%。一方、「ホームページビルダー12」では商用利用が41%(2008年調べ)、「同13」では商用利用が52%(2009年調べ)に達している。ビジネス利用が5年間で倍増し、しかも商用利用者のうち、74%が従業員100人以下の小規模事業者となっている。携帯電話サイトを持っているユーザーも7%、今後持ちたいと考えているユーザーは30%強にも増加している。
こうした背景から、今回のホームページビルダー14では、商用ユーザーを強く意識し、企業で必要とされる機能を大幅に強化しているという。
ジャストシステムでは、ホームページビルダーの企業ユースが増加している理由について、次のように分析する。
「企業にとってウェブは欠かせないマーケティングツール、営業ツールとなっているが、昨今の経費削減のなかで、外部にサイト制作を依頼できないという課題を抱えている。従業員数300人以下の企業では、ウェブサイトに関わる年間予算が100万円以下、月平均で8万円というのが実態。ウェブの内製化が進むなかで、ホームページビルダーを活用する企業が増えている」
それは数字にも表れており、パッケージソフトウェア市場全体が前年比19%減で推移するなか、ホームページビルダーは、前年比21%増と2桁成長を維持。経済環境が低迷する中でも、数少ない「売れるソフト」となっているのだ。
新製品では、チェックツールの活用により簡単にSEO対策が行える支援機能を搭載したほか、商用にも活用できるプレミアムテンプレートを用意し、業種別、用途別に提供。携帯電話サイトにも活用できるようにした。さらに、ショッピングカート機能のプラグインなども搭載し、ショップ開店やモールの出店なども可能にした。これらは企業ユーザーを対象にした機能強化である。
そして、ビジネスユーザーを対象にしたビジネスバリューパックを用意し、製品とともに会社、店舗などで利用できるテンプレート、SEO対策書籍を同梱。企業ユーザーが自らの手で、投資対効果の高い企業サイトを内製できるように支援する。
加えて、GoogleおよびYahoo!との連携により、ホームページビルダーの全製品に、リスティング広告費用合計1万円分をセットにして提供。ホームページを制作するだけでなく、それを対外的に訴求するところまで踏み込んだ仕掛けを設定したのだ。
「日本の元気はウェブサイトから!」というのが、ホームページビルダー14の基本メッセージだという。ホームページビルダーは、不況にあえぐ日本の企業を元気にするツールとなれるだろうか。