日本IBM社長の橋本孝之氏は2月15日、報道関係者を対象に2010年の方針について発表した。
社長就任2年目を迎えた橋本氏は、2010年のスローガンとして「真のTrusted Partnerになる年に」を掲げ、具体的な取り組みとしては、2009年と同じ「自由闊達(かったつ)な企業文化の醸成」「お客様への価値創造をリード」「新規ビジネス拡大とパートナーシップ強化」「良き企業市民としての社会的責任」を掲げた。
橋本氏は「真のTrusted Partnerとは、お客様と一緒にソリューションを作っていくなど、より密接な関係のもとで真価が試されることを指したもの。長期間に渡ってひとつのお客様をサポートすることも必要であり、またIBMも、Trusted Partnerになるために高いスキルが求められる。IBMの社員は、インダストリスキル、ソリューションスキル、テクニカルスキルのいずれかのスキルを持っているが、今後はひとつのスキルを深く持つ一方で、別のスキルについても浅く持っている『Tシェープ』モデルになる必要がある。それに向けて、社員がスキルを磨いていくことになる」などとした。
また、橋本氏は、自由闊達な企業文化の醸成に向けた取り組みのひとつとして、2010年は自らの勤務時間の70%を、顧客訪問や現場社員のために使うと宣言。「2009年は60%の時間を使うとしたが、結果は55%だった。今年はさらに現場に時間を割きたい」としたほか、日本IBMのグループ新ビジョンとして、「新たな価値をお客様と共創し、テクノロジリーダー、そして良き企業市民として、日本の変革に地球視点で貢献するリーディングカンパニー」を掲げた。
「日本IBMがビジョンを掲げるのは、北城、大歳の時代に続いて3回目。30〜40代の若手社員が集まって考え、役員会で承認して、今年1月4日に発表した。21世紀のセカンドディケイドに向けたビジョンになる」と位置づけた。
スキルの強化としては、クラウドコンピューティングおよびBAO(Business Analystics and Optimization)のスキル研修の推進、CIO経験者や他社で業種経験が長いといった業種ノウハウを持つ人材の中途採用の実施、海外のIBMで勤務を行う海外短期アサイメントを前年度の32人から80人に増員、新興国でのボランティア活動に25人を派遣することなどを明らかにした。そのほか、1日に2時間だけの勤務が可能といった勤務のフレキシブル化、ホームオフィス制度の利用拡大などにも取り組むとした。
また、顧客への価値創造をリードするにあたって、クラウドコンピューティングについては、1月1日付けで社長直属のクラウド統括組織を設立し、300人のクラウドスペシャリストによる「Team Cloud」を結成したことなどを紹介した。さらに、BAOでも同じく1月1日付けで、400人体制で専任組織を発足。年内に500人体制にするとともに、インダストリ特化型のソリューションを30種類用意すると語った。