アイ・ティ・アール(ITR)は、就業管理およびLSP(Labor Scheduling Program)を提供する国内のソフトウェアベンダー32社について製品調査を行い、調査結果を市場調査レポ−ト「ITR Market View: 就業管理市場2010」としてまとめた。
ITRによれば、2008年度の国内就業管理市場は、トップシェアを誇るアマノが大きく売上げを落としたことが影響し、市場全体の出荷金額は66億円、前年比0.6%の微減となったという。2009年度は、2010年4月から施行される改正労働基準法への対応特需が期待されたが、景気低迷によるIT投資削減の影響が大きく、同1.8%減と2年連続の前年比割れが予想されるとしている。
また、就業管理市場をパッケージとASP・SaaSの提供形態別で比較すると、2008年度におけるパッケージの出荷金額が前年比で6.2%減となるのに対して、 ASP・SaaS市場は同22.1%増の16億円と急速に拡大。ITRは、この背景に景気後退の影響を受けて初期投資を抑制し、資産取得を回避しようとする企業が多かったことがあるとしている。
同社では、2009年度もこの傾向が続き、就業管理市場に占めるASP・SaaS型の出荷金額比率は前年比約7ポイント増の31.0%に拡大するとみている。一方、2008年度のベンダーシェアは、就業管理パッケージ市場においてタイムレコーダーの老舗であるアマノが高いシェアを維持し、ASP・SaaS市場では同社の子会社であるアマノビジネスソリューションズがトップを堅持しているという。
ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は、「就業管理において高い処理性能や高いピーク性への考慮を必要としない、要件の難易度が高くない企業では、ASP・SaaS型を採用することで初期導入コストを低減できることから、今後も従業員規模1000人未満のセグメントを中心にASP・SaaS市場は成長することが見込まれる。ただし、同市場での価格競争はさらに激化していくものと見られる」とコメントしている。