PBC、アーキテクチャを一新したMSのSMB向けERP「Dynamics NAV」新版を発表

柴田克己(編集部)

2010-03-05 11:59

 パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は3月4日、マイクロソフトの中堅中小企業(SMB)向けERPパッケージ「Microsoft Dynamics NAV」の最新版である「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1ロールテイラード版日本語バージョン」を発表した。4月下旬の販売開始が予定されている。

 マイクロソフトでは「Dynamics」のブランド名でERPおよびCRMアプリケーションを展開しているが、グローバルで展開するERPは、大企業向けの「Dynamics AX」および、中堅中小企業向けの「Dynamics NAV」の2製品となる。

 Dynamics NAVは、マイクロソフトが2002年に買収した「Navision」をベースとした製品。PBCでは、買収前の2001年よりNavisionとパートナー契約を締結し、同製品の日本語化および日本向け機能の開発を行うと共に、導入およびコンサルティングを行っている。PBCでは、マイクロソフトによるNavision買収に伴い2002年にマイクロソフトとパートナー契約を再締結。2007年には日本法人とMicrosoft Dynamics NAVの販売契約を締結している。

 今回発表された最新版についても、これまでと同様、PBCでローカライズを行っているという。適応分野としては、生産管理、プロジェクト管理、販売・購買・在庫管理、財務・会計管理、倉庫管理、ビジネス分析、CRM、SCMなどを幅広くカバーできるとする。パートナーとしてのPBCでは、主に小売、保守・メンテナンス、貿易、製造といった各業種向けにテンプレートの開発提供と導入コンサルティングを展開していく。

 新バージョン「Dynamics NAV 2009 SP1ロールテイラード版」では、これまでの2層構造によるクライアント/サーバシステムから、新たに中間層としてアプリケーション層を設けた3階層システムにアーキテクチャが変更されている。これにより、アプリケーションサーバでの多言語対応やロジック変更に伴うシステム改修が容易になったとする。

Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1ロールテイラード版日本語バージョン 新たに追加された「ロールセンター」と呼ばれる機能では、ユーザーの業務に合った画面が表示される。カスタマイズやOutlookの統合なども可能。

 合わせて、ユーザーインターフェースも一新されている。製品名の「ロールテイラード(Role Tailored)版」は、「役割に合わせて作られた」の意味となっており、ユーザーがログインした際、各ユーザーの役割に合った「ロールセンター」と呼ばれるポータル画面が表示されるようになっている。ロールセンターには「経理マネージャー」「ITマネージャー」「経営者」「会計伝票入力担当者」「購買担当者」といった業務別にプリセット画面が21パターン用意されており、カスタマイズで新たな画面を作ることも可能という。また、エンドユーザー側でも画面をパーソナライズできる。

小林敏樹氏 パシフィックビジネスコンサルティング、取締役社長の小林敏樹氏

 2015年に日本においても強制適用が予想されているIFRS(国際財務報告基準)への対応について、パシフィックビジネスコンサルティング、取締役社長の小林敏樹氏は「IFRSは、これまでの会計原則にあまりとらわれない『原則主義』に基づいて作られている。だが、それをシステム上でどのように実現するかについては、まだどこも答えを持っていない。我々はシステム屋として、どのようにIFRSを位置づけるかについて製品検証を行ってきた。(既にIFRSへの対応が始まりつつある)欧州を起源とするDynamics NAVは、それを意識した作りの製品でもある。PBCとしても、IFRSへの対応をNAVでどのように実現するかについて考えており、企業が原則主義の枠内でどのような会計処理を行うか判断したら、それを運用することは十分に可能だと考えている」とした。

中西智行氏 マイクロソフト、Dynamicsビジネス本部本部長の中西智行氏

 また、マイクロソフト、Dynamicsビジネス本部本部長の中西智行氏は、「マイクロソフトがDynamicsのビジネスを手がける最大の目的は、企業にかかわる全社員の生産性をITを通して向上させること。そのためには、フロントエンドだけでなくバックエンドのシステムも重要となる。NAVの最新版では大きく機能が強化されており、ロールテイラードなポータル画面の提供などによって、全社員がバックエンドのデータを活用してビジネスに生かしていくことが可能になっている。マイクロソフトは、ERPやCRMの分野では後発であり、製品を単独で売っても評価されるのは難しいことは承知しており、むしろ、現在Windowsシステムを使っている企業に、さらなる生産性向上のための仕組みとして活用してほしいと考えている。そのためにも、PBCのような深く製品を理解し、日本のビジネス習慣にも対応させる形でローカライズできるパートナーの存在は心強い」とした。

 Microsoft Dynamics NAVの参考価格は、日本語版の基本パッケージ価格が200万円。基本ライセンスが31万3000円。ユーザーライセンス(11同時接続ユーザーの場合)が310万2000円となっている。

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