帳票のデータを分析すれば、ビジネス判断に役立てられる
データの再利用でも、入力される内容に焦点を当てて取り組まれる分野もある。ビジネスインテリジェンスだ。
ふだん聞き慣れない言葉なので新社会人の皆さんは気持ちが引き気味になると思うが、何のことはない、これはデータ分析である。受注関連の帳票を集計して、たとえば新商品の売れ行きを追いかける。あるいは、一緒に買われる確率の高いもの、いわゆる商品の相関関係を見たり、既存の商品が上り調子なのか下り調子なのかといった傾向も、帳票データをもとにして把握することができる。そして分析の結果わかったことを、商品開発や生産量の調整、マーケティングなどに生かしていけば、より実態に即した企業活動を展開できるというわけだ。
文字列データを対象に分析する方法もある。たとえば、非常に成績のいい営業担当者トップ何名かの営業日報を分析にかけて、その中から共通する行動やセールスフレーズを探しだし、それを営業担当者全員で共有するのだ。紙ベースの帳票では大きな労苦を伴うが、デジタルデータで扱えれば効率が大きく違う。
セキュリティ確保や検索が容易になるのも電子帳票だからこそ
こうしてデータを再利用できる電子帳票だが、逆にデータを再利用させない、データを流出させない、改変させないといったセキュリティをかけることも可能だ。紙の帳票は案外無防備で、不適切な人の目に触れることを免れないときがあるが、電子帳票なら一度入力されたデータを書き換えられないようにしたり、帳票そのものを暗号化したり、第三者の手にわたらない工夫を施しやすい。また、デジタルデータであるために過去帳票の検索が格段に楽になる。検索者の権限管理を行えば、それはセキュリティ対策にもなる。
新社会人の皆さん、上司から命じられる帳票作成の意味と役割が、これで少し分かっていただけただろうか。今は作成するばかりで憂うつかもしれないが、いずれそれはあなたの仕事にもきっと役に立つ。どうかその日を信じてがんばってほしい。