富士通は4月30日、2009年3月期連結決算を発表した。会見には4月1日付けで執行役員社長に就任した山本正已氏も同席。決算の詳細説明の前に、約10分に渡って今後の経営方針と通期計画について説明した。
野副元社長の辞任問題、業績への影響は全くない
説明の冒頭、山本氏はまず同社元社長の野副州旦氏の辞任問題について、次のように述べた。
「ステークホルダーの皆様方に大変ご迷惑をおかけしたこと、心からお詫び申し上げます。また、過去の情報公開におきまして、適切でない表現をしたことにつきましても、改めまして、心からお詫び申し上げます。なお、富士通の情報公開については、4月14日の記者会見で、富士通の本心といいますか、偽らざるところを述べさせて頂きました。これが今の富士通が思っていることでございまして、今この段階におきまして、新たな事実はないという風に思っております」
一連の問題が業績に与える影響については、「業績に対する懸念を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、本業について全く問題ないというふうに思っております。これからも本業のビジネスに真摯に取り組み、実績をあげることで、皆さま方に安心して頂けるのではと思っております」と述べた。
クラウドへ1000億円投資、海外で基盤整備へ
経営戦略としては、2010年度にクラウド基盤の整備を目的として1000億円を投資する。富士通は2月にクラウドサービス基盤「Trusted-Service Platform」上で展開するIaaSを発表し、特に高い信頼性が求められる企業向けクラウドサービスとして訴求している。今年度はこの基盤を米国、ドイツ、英国、シンガポール、オーストラリアと、海外5拠点に展開する。山本氏は日本の顧客が中国を初めとするアジア地域に進出していることに触れながら、「お客様のグローバル展開に、我々は一緒について行きたい」と、世界展開の意義を強調している。
山本氏によれば、クラウドへの投資には3つの目的があるという。