フォード、ロールスロイス、GEは、何故シーメンス製品を採用するのか? - (page 2)

冨田秀継(編集部)

2010-05-31 23:25

製品設計・開発の迅速、正確な意思決定を支援するHD-PLM

 HD-PLMは、製品のライフサイクル管理(PLM)において、精度の高い(High Definition)意思決定を支援するためのフレームワークで、特徴は大きく分けて3つある。

 1つ目は個別ユーザーの役割をシステム上で認識できる点だ。開発部門のマネージャーがユーザーであれば、マネージャーが知りたい情報が何かをシステムが理解し、判断のための材料を迅速に提供するという。

 2つ目はコンフィグレーション。ユーザーは、部品の現在状況やリリースのバージョンなど、異なったステージにある部品を逐次選択することができる。

 3つ目の特徴は、ユーザーの状況に合わせて情報を抜粋するコンテキスト機能だ。一例として挙げたのは、プロペラシャフトが最高出力時に、プロペラシャフトと触れていない近隣の部品がどのような状態になるかを、簡単に調査できるという点だ。物理空間でのコンテキスト(文脈)を把握するための機能だが、機能同士の関連なども情報として抽出できるという。

 HD-PLMは、これら3つの特徴を1つの環境で利用できるのが大きな強み。製品の設計および開発時に発生するさざまな問題に対して、3つのコンセプトからアプローチして、問題の本質を特定できるという。

 また、HD-PLMでは、システムに登録されている膨大なデータの複雑さを管理できるのも特徴のひとつ。商品情報や生産環境に関する情報、問題解決に必要な情報は、さまざまなかたちで存在しているが、エンドユーザーは数回のクリックで簡単に情報を引き出すことができるとしている。

 今回機能追加が発表されたNX 7やTeamcenterも、コンセプト、あるいはフレームワークとしてのHD-PLMに対応する。

 実際の導入効果としてLudwig氏が挙げたのはFord Motorの事例だ。FordではTeamcenterを導入し、1億ドル以上のワランティ(保証)コストの削減に成功したという。この事例は、Teamcenterの導入によって、製品設計と開発に携わるすべての開発者とマネージャーが効率的に情報を共有した結果、品質が大きく向上し、ワランティコストの削減につながったと考えられよう。

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