uCosminexus SDPのアーキテクチャ
紹介した8つの適用事例は、すでに実現されているもの、および検証中のものだ。uCosminexus SDPでは、大量に発生するストリームデータに対し、あらかじめ集計分析シナリオをCQL(Continuous Query Language)と呼ばれる言語で定義しておき、そのシナリオに基づいて処理を行うアーキテクチャにより、これらの事例を実現している。
具体的には、まず入力されたストリームデータが、ウィンドウによる時系列データ処理やインメモリ差分計算などにより処理され、分析結果がシナリオに基づいた業務イベントとしてリアルタイムに生成される。大量のストリームデータをインメモリで高速に差分計算する技術が日立の強みであり、従来のDBMSに比べ2桁以上の高速化が期待できる。
また、SQLの拡張言語であるCQLにより容易にシナリオを記述できるのも強みのひとつ。CQLは、米Stanford大で提案された言語で、SQLにストリーム化演算とウィンドウ演算を拡張した汎用言語であることから習得が容易な特長を持っている。将来的には標準化される可能性もあるという。
さらに田村氏は、「uCosminexus SDPは、日立が開発した製品であることから万全のサポートを提供できることも大きな強みとなっている」と話している。
今後、日立では、uCosminexus SDPに対応したアプリケーション開発環境の充実に取り組んでいく計画だ。具体的には、アプリケーション開発用の共通フレームワークや分析シナリオのテンプレート、GUIによる環境設定機能などを提供する。
「入力/出力用のアダプタを提供することで、SOCKETやCSVファイル、DBなどのさまざまなデータソースを容易に取り込み、分析結果をダッシュボードやCSVファイル、DBなどに出力することができる」(田村氏)
uCosminexus SDPの最新バージョンでは、すでにアダプタが提供されているが、これを使うことで、開発ステップ数を10分の1に、開発期間を5分の1に削減できたという適用事例も報告されている。