NECは10月13日、同社におけるSIおよびクラウドサービスなどの「ITサービス事業」に関する取り組みについて説明を行った。
NEC、取締役執行役員常務ITサービスビジネスユニット長の富山卓二氏は、今後の事業展開の基本方針として、「国内15万のお客様とのリレーションを生かした事業展開とともに、SIベースの業種ソリューションをサービス化し、グローバル事業の拡大を加速する」と述べた。
「コアとなるSI事業のさらなる強化とともに、ミッションクリティカルに強みを持つNECらしいクラウドサービス事業を拡大する。また、CODC(クラウド指向データセンター)を日本を含む5極で展開することでグローバルにクラウドサービスを提供。各地域のSI事業者、サービスプロバイダー、アプリケーションプロバイダーなどの有力パートナーとの連携を図る」(富山氏)
NECのITサービスビジネスユニットは、同社にある7つのビジネスユニットのうちのひとつ。コンサルティングからシステム構築、運用・保守、アウトソーシングまでのITサービスを提供する。約3万7000人の社員と、国内29社、海外28社の体制となっており、2009年度の売上高は前年比7.2%減の8663億円、営業利益は2.7%増の532億円。2010年度は売上高で2.7%増の8900億円、営業利益は5.3%増の560億円、営業利益率8%を目指す。
「2010年度予想では、全社売上高の27%、同営業利益の56%を占めることになり、全社の売り上げ、収益の柱となっている。だが、海外売上高比率は約1割、サービス事業比率は約3割。ここが競合他社と比べて弱い領域。今後の成長のドライバーは、海外事業、クラウドを中心としたサービス事業になる」(富山氏)とした。
2009年度のクラウドサービスの売り上げ実績は約100億円。これを2010年度には200億円に拡大させる。中期的な事業目標として、2012年度には年平均成長率8%増となる1兆1000億円を目指すことを示ししながら、「サービス売上高比率を約4割に拡大。今後3年間で海外事業で約1000億円、クラウド事業で約1000億円の売り上げ増を見込む。クラウドサービス事業は2012年度には1100億円の事業規模になる。さらに、サービスおよびグローバル事業の立ち上げに向けて1000億円の投資を予定している」などとした。1000億円の投資のなかには、データセンターのファシリティ投資、SaaSへの開発投資、CODC事業におけるジョイントベンチャーの設立費用、M&Aなどを含んでいるという。
この1年で同社が特に力を入れているのがクラウドサービス事業の強化である。