Business ByDesignをプラットフォームにPaaSを展開
SAPは6月に最新版「Business ByDesign Feature Pack 2.6」をリリースした。マルチテナント、ライフサイクル管理などを土台に盛り込んだもので、同リリースを機に本格展開していく。
「これまでは意図的に顧客数を制限してきたが、Feature Pack 2.6のリリース以来、2桁台で顧客を増やしている」とのこと。また、事前設定済みのパッケージ「Starter Package」をCRMやERPなど一部の分野で提供。こちらも好評で、小さく初めて大きなプロジェクトに拡大させる事例も多いのだという。
オンデマンド事業は今後、PaaSも積極的に進めていく考えだ。
「パートナーや顧客(開発者)にBusiness ByDesign上でソリューションを開発してもらうようにする。これはオンデマンド戦略において重要だ」とStiles氏。現在、開発機能「Business OnDemand Studio」を一部パートナー向けに提供するアーリープログラムを展開中という。.NET、C♯にSAPの開発言語「ABAP」拡張を組み合わせたもので、SAP開発者やMicrosoft開発者なら容意に開発できるという。今後はPaaSにコミットする方針で、詳細は2010年12月にインドで開催するTechEdで発表する予定だ。
なお、SAPはラスベガスのTechEdで、Business ByDesignに開発オプションとして組み込んでいる開発機能「River」も披露している。複数のリソースから情報を収集するようなコラボレーション、軽量なアドオンやアプリケーション開発を対象にしており、SAPのCO2排出管理「Carbon Impact OnDemand」もRiverをベースとしている。
顧客がニーズに合わせて選択できるようにした、とStiles氏は説明する。「SAPは、実装、課金、開発の全てで選択肢を提供することになる」とStiles氏はまとめる。
選択肢という点では、オンプレミスのBusiness All-in-One、Business Oneで、パートナー企業がホスティング版を提供してることも付け加えた。
だが、オンデマンド分野ではSalesforce.comなどのように専業ベンダーがある程度のシェアを獲得しているのが現状。後を追うように発表されたBusiness ByDesignの発表から3年の間にも、これら専業ベンダーは中小規模企業を中心に着実に浸透し、エコシステムの確立も進めている。SAPはこのような競合をどうみているのだろうか?