「現在、Amazonにアクセスすると、自分の購入履歴に基づいた推奨製品が表示されるが、このようなサービスをモバイルでも提供できる」
企業は顧客との関係をさらに縮められることになるが、これはSAPにとって重要な点だとStephan氏は言う。
「BtoBtoCにあたって最も重要なことは使いやすさだ。モバイルでは一度使いにくいと思うとすぐにやめてしまう」
ここでは、SMSによる送金などモバイルバンキング機能も備えるSybase 365の技術が重要になるだろう。
クラウドサービスでもモバイル対応を加速
モバイルエンタープライズに向けた取り組みはすでに始まっている。「CRM Mobile Sales」「Mobile Workflow for SAP Business Suite」などを提供しており、2010年には「Instant Value」として、単一目的のアプリケーションを展開する予定だ。
その1つとしてStephan氏は、旅費支出アプリケーションを紹介した。出張中、経費となるレシートの写真データや音声メモをバックエンドの旅行管理システムに接続するもので、「マニュアルでレシートをスキャンしたりアーカイブする作業を省略できる」。Instant Valueアプリケーションは、2010年中にテストを開始する予定だ。
オンデマンドの「Business ByDesign」では、10月にiPhone向けアプリケーションを公開したところだ。今後、BlackBerryなど他のプラットフォームにも対応を進める。また、同じくオンデマンドで提供するコラボレーションサービス「SAP StreamWorks」も、モバイル版を2010年中にテスト公開する予定という。
これらのモバイルアプリケーションは「SAP技術を利用するユーザーインターフェースの1つに過ぎない」という位置づけから無料で提供する。