業務とITとの間にあるギャップをいかにして埋め、情報システムをビジネスに貢献させるか。長く議論されているこの課題に、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)の観点からヒントを得た企業の1社が三菱商事ユニメタルズである。
同社のCIO兼情報システム室長である大三川越朗氏は、2010年12月16日に行われたZDNet Japan主催のカンファレンス「BPMが高める現場力と経営力」において「三菱商事ユニメタルズが挑んだビジネスプロセス改革 〜ローカル&グローバルで効率化を進め、ビジネスチャンスを確実にする〜」と題し、自社の抱えたビジネス上の課題に対して、BPMのコンセプトを活用してどのような解決を図ったか、そして、情報システム部門がビジネスに貢献するために何ができるかについて講演を行った。
IT部門は企業の成長戦略に貢献できないのか?
三菱商事の100%子会社として、主に非鉄金属製品、非鉄金属原料などの流通を担う三菱商事ユニメタルズは、これまでにアルミ、非鉄製品を担当する複数の会社を統合し、現在に至っている。同社の持つ情報システムもそれに合わせるように、2006年には会社統合に伴うシステム対応を実施。2008年には、基幹システムの更新を行い、2009年には再度の会社統合に伴う基幹システムの統合および三菱商事からの業務移管に伴うシステムの受け入れを行ってきた。
複数社のシステムを統合する過程で、その複雑さは増してくる。現在、CIO兼室長である大三川氏を含む情報システム室の4名、常駐のビジネスパートナー4名で、すべてのシステムを運営している。
企業統合や業容拡大の中で、全社が新たなビジネスに取り組み始める中、情報システム室には、「既存システムの保守運用だけでいいのだろうか? 新たな成長戦略に貢献できることはないのだろうか?」という議論があったという。
そうした中で、同社にある事案が発生する。