一方、欧米型の組織においては、より機動性が重視され、ナレッジは人材の採用と解雇によって獲得及び解放される。そこでは企業カルチャーよりもジョブディスクリプションとの適合性がより重要となる。
そこには組織ナレッジの蓄積の難しさと言う課題を内包するものの、既存の枠組みへのチャレンジは相対的に行い易い環境にある。ここでは、ダイバーシティマネジメントが前提となる。
ダイバーシティマネジメントの難しさ
とはいえ、日本型組織においても外部の人材を採用したり、あるいは別事業体を打ち立てて既存の論理に囚われない組織を作ったりということまでは出来る。しかしながら、一番難しいのは、既存の枠組みを理解しない「その人」が、あるいは「その組織」が発した言葉を、「判ってないな」で片づけずに耳を傾けることにある。これは戦略や組織のような仕組みの話ではなく、マネジメント層から社員までの「日々の行動や人との接し方」という企業文化の話である。
そこが、ダイバーシティマネジメントの難しさであるが、これからの企業の競争力は、優秀な人材を集めることよりも、多様な人材を集めてマネジメント出来ることへとシフトしていくのではないか。さもなくば、「グレーゾーンを攻めろ」というスタンスが生まれることはなく、我々は既存の枠組みの中で朽ちていかざるを得ない。
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飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。