「システム系販売店の関心は、クラウド、スマホ(スマートフォン)、中国の3点に集約される」——。一般社団法人コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)専務理事の松波道廣氏はこう切り出す。同協会には、システムインテグレーターやディストリビューターなどの正会員、PCメーカーや周辺機器メーカーなどの賛助会員をあわせて154社が加盟。業界発展に向けた各種活動を行っている。
「協会加盟各社によって置かれた立場は異なるが、このいずれかのテーマに対して関心を持っているという点で共通点がある。事業拡大に向けた次の一手として、販売店にとって重要なテーマになる」と語る。松波氏に昨今のシステム系販売店の動向について聞いた。
SFDCやMSFTのクラウド成功事例を研究

一般社団法人コンピュータシステム販売店協会 専務理事の松波道廣氏
コンピュータシステム販売店協会は、1996年に設立された販売店を中心とした業界団体。2011年10月時点での加盟会社は正会員で80社、賛助会員で74社の合計154社。昨年10月時点での加盟会社数が正会員74社、賛助会員66社の合計140社であったことに比較すると、この1年間で会員数が1割増加した格好だ。設立当初は量販店の参加も多かったが、現在では正会員のほとんどがシステム系販売店となっている。
同協会の活動は、総務部会、市場部会、人材部会、トレンド部会の4つの部会で構成。それぞれに委員会を設置し、販売店および業界が持つ課題解決に向けた各種活動を行っているほか、定期的にセミナーや交流会を開催し、業界内の情報交換の活性化や知見の向上などに取り組んでいる。なかには、無料セミナーなどの開催もあり、会員会社以外にも門戸を開いた活動を行っている。
「クラウド」「スマートフォン」「中国」という3つのキーワードは、協会活動を通じて松波氏が感じる販売店の関心事だという。
「クラウドコンピューティングについては、多くの販売店が注目し、技術動向や販売動向に関心があるものの、実際にビジネスとして成り立つのかといった点での不安がまだまだ多い。賛助会員であるPCA(ピー・シー・エー)やOBC(オービックビジネスコンサルタント)といったクラウドコンピューティングに前向きに取り組んでいるソフトメーカーから情報提供を得て、セミナーを開催しているが、なかなか本腰でクラウドコンピューティングに踏み出せない販売店が多い」とする。
同協会では、トレンド部会においてITビジネスモデル委員会を設置し、クラウドコンピューティングのビジネスモデルが成り立つのかといった点での検証を開始している。今年度は、セールスフォース・ドットコムや日本マイクロソフトのクラウドビジネスの成功事例を販売店の立場から検証するといった活動を行っており、これらの情報を共有することにしている。
「どうすればクラウドビジネスで成功できるのかといったことに対する関心は日増しに高まっているのが実状」というのもうなづける。