FacebookのIPO--企業のコンピューティングに与える影響は?

Patrick Gray (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-02-10 07:30

 Facebookの新規株式公開(IPO)が企業のコンピューティングに、そしてそれを取り巻くソーシャルネットワーキング分野やコンピューティング分野全般に及ぼす影響について、IT戦略に詳しいコンサルタントである筆者が解説する。

 ソーシャルネットワーキング界の旗手であるFacebookは米国時間2月1日、株式公開の意向を正式に表明した。その評価額については、さまざまな憶測が飛び交い、桁外れの金額になると予想されているものの、間もなく答えが出るはずだ。筆者には投資家としての素質がないため、ここで投資家向けのアドバイスを行うようなことは控えておきたい(素質があれば、今頃はどこか南の島でトロピカルカクテルを楽しんでおり、この記事が執筆されることもなかったはずだ)。そこで、FacebookのIPOが企業のコンピューティングに、そしてそれを取り巻くソーシャルネットワーキング分野やコンピューティング分野全般に及ぼす影響について焦点を当ててみることにする。

Facebookとは

 あなたがFacebookにログインしたことすらなく、またFacebookにはまっている子どもや妻(あるいは恋人)が高校時代の憬れの人のFacebookページをマメにチェックしたり、近況をアップデートしているところを肩越しにでも見たことがないというのであれば、ソーシャルネットワーキングにおける代名詞となりつつある存在を見逃していることになる。筆者自身はFacebookが、大いなる時間の無駄を引き起こし得る存在だと捉えているものの、そのテクノロジに関する実践的な知識を押さえておくだけの価値はあると考えている。自らでFacebookを体験し、調査するのは避けたいと考えている方のために書いておくと、Facebookでは経歴や写真をほとんど公開せずにプロフィールを作成でき、近況をアップデートしていけるようになっている。ユーザー目線で見た場合のFacebookの「スゴさ」は、多くの友人たちの近況について、実際に連絡を取り合うことなくチェックできるようにしながらも、長らく音信の途絶えていた友人や知人を見つけ出すこともできるという点にある。30年以上も交流がなかった人物を「友人」と呼べるのかと主張する人もいるかもしれないが、筆者自身の経験を告白すると、小学校時代にふられた片思いの相手の近況を「調べる」場合にも使えるのである。

 マーケッターの目線で見た場合、Facebookは究極の顧客抽出ツールということになる。ユーザーは、音楽の嗜好から趣味、訪れた場所にいたるまでのありとあらゆる興味を自らで提示することになるためである。筆者の端末に表示される広告も、人里離れた場所へのフライフィッシングツアーから、1990年代初頭に活躍したお気に入りのヒップホップスターの再結成ツアーまで、何かの折にFacebookに書き込んだデータに基づいたものとなっている。ユーザーデータの大々的な商利用を行うために、Facebookはプライバシーに対する懸念や文化に根ざした慣習という大きな壁を乗り越えなければならないだろう。とは言うものの、膨大な数の、さまざまな市場区分に分類できる数億人もの潜在顧客は、マーケッターにとって極めて魅力的なものであるため、潜在的な投資家もIPOを歓迎するはずだ。

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