NEC、ビッグデータ事業強化で新製品--スケールアウト前提のRDB

田中好伸 (編集部)

2012-02-13 12:53

 NECは2月13日、ビッグデータ関連事業の強化を発表した。製品やサービスを強化するとともに、全社横断の戦略プロジェクトを立ち上げ、専門要員の強化と育成を図る。

 強化策の第1弾としてデータベース(DB)ソフトウェア「InfoFrame Relational Store」の販売を開始した。希望小売価格は510万円(税別)、4月からの出荷を予定している。

 InfoFrame Relational Storeは、RDBMSの開発容易性とキーバリューストア(KVS)のシステム拡張性を両立させるとともに、独自技術の「MicroSharding」で、KVSで難しいとされる信頼性の高いデータ処理技術が可能という。

 現在一般的なRDBMSは、将来を見越した設計が必要であり、スケールアウトしづらいといわれている。InfoFrame Relational Storeはスケールアウト機構を搭載しており、データ量とアクセス数の増大に対して、サービスを止めずにサーバを追加するだけで、システムを拡張できる構成となっている。需要にあわせたシステム拡張ができるために、導入時から将来のデータ増加を見越したシステム設計をする必要がなく、初期導入のコストを抑え、スモールスタートが可能と説明している。

 InfoFrame Relational Storeは、国際標準規格のSQLに対応していることから、既存システムで稼働しているアプリケーションを有効に活用できるとしている。NECはBIGLOBEの画像管理サービスにInfoFrame Relational Storeを試験的に先行導入している。

 BIGLOBEの画像管理サービスは、将来的なトラフィックやデータ量増加によりスケールアップの限界が見えている一方、DBの増強や刷新時の切り替えに大きなコストがかかることが課題となっていたという。同サービスのシステムをInfoFrame Relational Storeで構築したところ、プログラミング流用率は99%を達成し、既存のシステム資産を有効に活用できることを検証したとしている。

図1 MicroShardingのイメージ

 MicroShardingは、複数のデータを1カ所にまとめてメモリ上で処理することで、高速なトランザクション処理を実現できるという。基幹業務で活用することを想定してInfoFrame Relational Storeは、信頼性向上を狙っている。通常使用しているサーバやストレージのデータを常にバックアップサーバに複製していることで、サーバが故障してもデータを各自に保護できるという。マスタとなるサーバの障害検出時にはバックアップサーバに1秒以内に切り替えられると説明。サービス中断が許されないようなミッションクリティカル性の高い業務に耐えられるとしている。

 全社横断プロジェクトについては、2月に研究開発部門と関連するビジネスユニットから選出したメンバー計50人で構成される「ビッグデータ戦略プロジェクト」を立ち上げている。同プロジェクトを核に今後、全社横断でHadoopやM2Mをはじめとする先進技術の開発強化やユーザー企業との実証実験、マーケティングプロモーションを推進していく。

 専門要員との強化と育成では、ユーザー企業の情報システム部門だけでなく、実際の現業部門に対して解決策を提案できるドメインエキスパートとデータの分析スキルやツールの活用に長けた分析エキスパートを社内で育成する。加えてパートナー企業の活用を通じて、今後3年間で計200人に拡大していくことを明らかにしている。

図2 データ活用製品「InfoFrame」シリーズの概要

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