オープンソースソフトウェアに関する6つの神話と現実

Paula Rooney (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-03-23 07:30

 市場調査会社のIDCは米国時間3月13日、ボストンで開催した「Directions 2012」カンファレンスにおいて、オープンソースソフトウェアに関する6つの神話と現実を明らかにした。

1.最初の神話は、オープンソースソフトウェアが世界を席巻する(IDCの言葉を借りると『オープンソースソフトウェアがあらゆる市場に参入していく』)というものだ。

 IDCの見解は次の通りである。

 「それにはニーズの掘り起こしが必要だ。市場はプロプライエタリなソリューションに満足しておらず、開発者コミュニティは新たなソフトウェアソリューションを創造していきたいと考えている」

2.IDCが明らかにした2つめの神話は、オープンソースソフトウェアが「本質的に革新的」であるというものだ。

 「過去を振り返ると、オープンソースソフトウェアが新たなマーケットを開拓した事例はほとんどなく、既存のソリューションを模倣しているに過ぎなかった。だが今日のオープンソースソフトウェアは、そういった過去に別れを告げつつある」

3.この他にもIDCは、オープンソースソフトウェアが商用ソフトウェアよりも速いペースで改善されていくという点を神話として挙げている。なおIDCはこの点について、こういった神話は多くの場合に真実を含んでいるものの、だからといって企業顧客に対して役立つかたちでオープンソースソフトウェアが提供されている、あるいはパッケージ化されているということを意味しているわけではないと述べている。

 「オープンソースソフトウェアは実際に、毎日や毎週、あるいは毎月という頻度でリリースされている。問題は、使う側がそういった速いペースでの変化にどの程度追随できるのかということにある」

4.オープンソースソフトウェアは、プロプライエタリなソリューションに比べるとロックインされにくいという特徴が広く認識されている。確かにその認識は正しいものの、、、。

 「正しいのはある程度までである。オープンソースソフトウェアであっても必ず何らかのかたちでロックインされるのだ。また逆に、商用のオープンソース製品を提供する側から見た場合、強力にロックインすることができないために苦戦を強いられてもいる」

5.5つめの神話は、オープンソースソフトウェアは無償であるか、少なくとも圧倒的に価格が安いというものである。IDCは、ソフトウェア製品自体の価格がソリューションにかかるコストのごく一部でしかないという点を指摘したうえで、顧客はIT部門のコスト削減が本当に可能かどうかを検証するために、ソリューションを構成する各アプリケーションすべてを考慮したライフサイクル全体の検討が必要であることを主張している。

 「(オープンソースソフトウェアの価格が安いということは)必ずしも言えない。購入前に試用できるのは素晴らしいことであるが、総所有コスト(TCO)には導入時のコストや、長期にわたる管理/ユーザーサポートのコスト、ダウンタイムコストといったものが含まれている」

6.オープンソースソフトウェアの真の利点を享受するには、そのコミュニティに積極的に参加しなければならないと考えている顧客やベンダーも数多くいる。IDCによると、幸いなことにそれは事実ではないという。「Linux」や「Hadoop」のような大規模プロジェクトに目を向ければ、それらが大衆に対して大きな利点をもたらしていることが分かるはずだ。

 「コミュニティの動向に注意を払っておいた方がよいとはいうものの、コードに対する貢献を行ったり、テスターとしての役割を果たすことがユーザーに強いられるわけではない」

 読者はどのような捉え方をしているだろうか?

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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