インテルでは全世界54拠点にIT部門の拠点を持っている。社員1人あたりのIT支出は、2011年実績で1万5500ドルになっているという。
「日本の企業に比べるとIT投資額は多いと感じるだろうが、米国の企業では平均的な水準。支出の大きさと効率性には相関関係があり、日本の企業もさらに投資を拡大すべきである」と、富澤部長は語る。
公開された指標を見てみると、IT@Intelは大きな成果をあげていることがわかる。
たとえば、以下の通りだ。
- 新たなサービスがクラウドコンピューティングによって提供される比率は80%。エンドユーザーは自ら設定することで、45分間で新たなサービスを利用できる。
- マルウェアの検出件数は50%増加しているが、感染件数は30%減になっている。
- 製造プロセスの問題検出分析により、生産の中断や大量の不良品発生防止を支援。設計コンピューティング予測エンジンにより、処理能力を最適化することで、年間700万ドルのコストを削減した。
- CRMでは、顧客案件の大規模データセットからデータマイニングにより有望な見込み客を特定。BIのスキルを備えた5人のスタッフが約6カ月で最大1000万ドルの価値を創出した。
- 標準化された開発環境を導入し、ソフトウェア開発を効率化。開発期間を5〜12%短縮。技術者はわずか数分で各自の開発環境とツールを活用できるプロビジョニング環境を実現。
- BI機能を使用することで、製品需要予測プロセスの所要時間を22%削減し、チームの生産性を30%向上させた。
- 中国ではウェブベースの請求書発行システムを実現し、問題のある請求書の件数を90%削減した。
- 12社の企業、1万人以上の新たな統合を迅速に実現。買収先の企業がインテルの契約価格をべースにしたシステムを活用することで、1社あたり最大で600万ドルのコスト削減を達成した。
- サービスカタログの約60%をITILに基づいた新たなモデルへ移行。電子メールサービスやメッセージングサービスに影響を与える重大インシデントは60%減少した。
- IT部門においては、官僚主義打破プログラムを通じて6カ月間で21のプロジェクトが完了し、5万6000時間の生産性向上と55万ドルのコスト削減を実現した。
そのほかにも、成果は山積みだ。
ビジネス成長への貢献では、セールス&マーケティング事業本部において数日かかっていたウェブへのコンテンツ掲載までの時間をわずか数分に短縮。オンライン・セールス・センターでは、240万人の訪問者、10万人以上の新規見込み客を獲得し、8000件の営業案件が成立するという成果が出ているという。
「オンライン・セールス・センターはまだ日本で展開していないが、日本でも近いうちに導入していくことになる」という。
日本においては、東日本大震災によりつくば本社が大きな被害を受けたものの、重要な機能はクラウドへ移行しており、すべての社員がモバイル環境で業務ができる環境を構築。ソフトフォンの導入によって、家庭やモバイル環境でもオフィスと変わらない環境を実現したという。