中期経営計画に「手応え」の日立、目標達成を「断念」したパナソニック - (page 3)

大河原克行

2012-05-16 09:00

 パナソニックの2011年度通期連結業績は、最終赤字がマイナス7721億円と、同社過去最大規模の赤字となった。これは先に触れた日立製作所の7873億円という最終赤字に次ぐ、電機業界で2番目の赤字額だ。

 連結売上高は前年比9.7%減の7兆8462億円、営業利益は85.7%減の437億円、税引前純損失は前年の1788億円から赤字転落し、マイナス8128億円の赤字となっている。

 パナソニックの大坪文雄社長は「巨額の赤字を計上することになり、責任を重く受け止めている」とコメント。2012年度を最終年度とする中期経営計画「GT12(Green Transformation)」で掲げる計画値についても、「目標とした数値の達成は、あきらめざるを得ない」と肩を落とす。

 GT12における2012年度の計画は、売上高が10兆円、営業利益率は5%以上など。そして、環境革新企業を目指す同社らしく、CO2削減貢献量でも、2005年度比で5000万トンという数値目標も掲げていた。

 しかし、2012年度の見通しは、売上高が8兆1000億円。営業利益は2600億円となり、営業利益率は3.2%。そして、CO2削減貢献量では4100万トンとやはり計画を下回る。最終利益は500億円へと黒字転換を見込むが、依然として課題事業の再編への取り組みは継続する必要がある。

パナソニックの大坪文雄社長
パナソニックの大坪文雄社長

 「パナソニックにとっては、創業以来、過去最大のトランスフォーメーションとなった。構造改革費用として7671億円を計上し、グローバルにお客様と直結する体制を確立する一方、クロスセルを行ないやすい環境を構築し、パナソニック電工および三洋電機とシナジーを生みやすい体制や、重複事業の重複解消も図ってきた」と大坪社長は振り返りながら、「大きな痛みを伴う意思決定だったが、将来の足かせとなる要素を一気に排除するために、強い意思でこれを断行した。これにより、環境革新企業になるための基盤は構築できた。目指す方向に間違いはない。この成果をベースに、再スタートを切りたい」と強い意志をみせる。

パナソニックに重くのしかかるテレビ事業

 パナソニックの業績悪化の要因は、やはりテレビ事業にある。

 液晶テレビの売上高は28%減の3923億円、プラズマテレビが41%減の2838億円。年度初めには、2500万台としていた計画は、1752万台と3割程度減少しているのだ。

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