中期経営計画に「手応え」の日立、目標達成を「断念」したパナソニック - (page 4)

大河原克行

2012-05-16 09:00

 2008年度から継続している赤字からも脱却できないままだ。

 そして、パネルの生産拠点の再編も業績に重くのしかかった。液晶パネル生産の千葉県茂原市の茂原工場を休止し、これをジャパンディスプレイに売却するとともに、姫路工場の減損処理を実施。プラズマディスプレイパネル(PDP)では、兵庫県尼崎市の第5工場の生産休止および減損処理、第3工場設備の海外移転を中止するとともに設備を廃棄。また、上海での生産停止を明らかにして、これを第4工場に集約するという再編を実施。PDPの生産台数は年間1380万台(42型換算)から720万台規模と、約半分の規模にまで縮小させた。

 これまでは、大型パネルの用途をテレビ向け中心としていたが、デジタルサイネージや医療用、車載モニターなどの非テレビ用途に活用することも構造改革のひとつと位置づけており、液晶パネルでは半分近くまで非テレビ用途の構成比を拡大する考えを示している。

 「2012年度は、不採算モデルを大胆に絞り込み、大画面シフト、スマートテレビのグローバル展開、原価構築の徹底による大幅ダウンなどにより、約1300億円の利益改善を目指し、テレビ事業において黒字化を図る」とする。

 「2012年度は、成果が問われる1年。2011年度に過去最大の赤字を出した当社にとって、求められる成果は収益である。失った信頼を取り戻すのは実行力しかない。新事業体制の真価を発揮し、なんとしてでもV字回復を実現したい」と意気込む。

 2012年6月から、大坪社長は会長に就任し、社長としてV字回復の陣頭指揮を執るのは津賀一宏専務となる。大坪社長から11歳若返ることによるスピード感、実行力に期待が集まっている。

 2011年度第3四半期(2011年10〜12月)を底にして、営業利益は増益基調に転換していること、「2012年4月をみると、大半のドメインにおいて計画を上回るスタートを切っている」(大坪社長)という明るい兆しも見えている。

 「収益にこだわる、商品を鍛える、自ら変わる、変えるという3点が、グループの基本指針」と大坪社長。パナソニックが得意とするまるごと事業の強化、好調なアプライアンス(白物)事業の拡大、グローバル戦略の加速などが鍵になりそうだ。

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