減収減益から回復への道筋を探る富士通とNEC

大河原克行

2012-05-21 11:06

本特集「電機大手の2011年度決算を読む」では、電機メーカーの2011年度決算を解説することで、電機メーカーの課題と展望を示したいと考えている。

これまで、日立製作所、パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、三菱電機の6社を取り上げてきた。


今回はIT分野に強みを持つ2社——構造改革の手応えを強調する富士通、そして1万人の人員削減を含む構造改革を予定するNECの決算を解説したい。(ZDNet Japan編集部)

減収減益も手応えを強調する富士通

 ITを主軸に据える富士通とNECは、ともに2012年度の業績回復が注目される。

 富士通の2011年度連結業績は売上高が前年比1.3%減の4兆4675億円、営業利益は同20.6%減の1053億円、経常利益は同15.5%減の911億円、当期純利益は同22.5%減の427億円となった。

 セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が前年比2.6%減の2兆9349億円、営業利益は同5.2%増の1712億円。

 テクノロジーソリューションを構成するサービス事業においては金融および公共分野における大型システム商談が減少したほか、クラウドサービスの先行投資負担が継続したことで減益。システムプラットフォーム事業では、前年同期にスーパーコンピュータシステム「京」を構成する専用サーバの量産効果があった反動がマイナスに影響した。だが、サービス事業では、システムインテグレーションにおいて、製造、流通、ヘルスケア関連の投資回復や、アウトソーシングサービスが堅調に推移。システムプラットフォーム事業ではスマートフォンの増加に伴う通信トラフィック対策需要により、ネットワークプロダクトが増収。PCサーバのコストダウン効果なども増益に影響した。

 また、ユビキタスソリューションの売上高は前年比2.5%増の1兆1542億円、営業利益は同12.1%減の199億円。パソコンで企業向けの大型ロット商談があったことが増収要因だが、個人向けPCの価格下落、タイ洪水被害によるハードディスク調達の遅れなどが影響し、パソコンの出荷台数は602万台。前年比11%増と2桁成長となったが、年間660万台という当初計画は下回った。

富士通の山本正已社長
富士通の山本正已社長

 一方、デバイスソリューション事業は、売上高が前年比7.3%減の5847億円、営業損失が前年の209億円の黒字からマイナス101億円の赤字へと転落した。

 世界ナンバーワンのスーパーコンピュータ「京」向けのCPUの量産が、2011年度第1四半期で完了したことに加え、電子部品の需要低迷などが影響した。

 だが、富士通の山本正已社長は、減収減益の結果ではありながらも「富士通の体質の強化に対して、ある程度自信を持てた。富士通が目指す筋肉質の体制が出来上がってきた」と胸を張る。

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