3)Rubin氏によると、企業(ここでは中小企業も含む)は、大規模パブリッククラウド上にどういったアプリケーションやデータを置くべきなのか、そして何をプライベートクラウドに置いておくべきなのかを見極めなければならないという。入出力集約型の一部のアプリケーションは、パブリッククラウド上よりも社内に配備した方がよいかもしれない。こういった評価を正しく行うには、試行してみる他に手はない。プロバイダーたちは顧客に対して、さまざまなアプリケーションを稼働させ、そのパフォーマンスとエンドユーザーのエクスペリエンスを評価するようアドバイスしている。
4)その後、セキュリティサービスといった、欠くことのできないその他のサービスをまとめ上げる方法、およびプライベートクラウドとパブリッククラウドを連携させる方法を決定しなければならない。Rubin氏は、大企業は「クラウドを孤立したもの」と捉えてはならず「セキュリティサービスとプロフェッショナルサービスというコンテキストのなかで、クラウドというものを考えなければならない」と述べたうえで、「こういったものの連携が可能な限り容易に行えることを、試行したうえで確認しておく必要がある」と述べている。
5)サービスプロバイダーの幹部たちは、大企業が目的に見合った適切な開発ツールを選択する必要があるという点も指摘している。新たなアプリケーションは、パブリッククラウド上でもプライベートクラウド上でも同じように稼働できるように構築されるべきなのだ。大企業は後々(パブリッククラウド上で)稼働させたいと考えている社内アプリケーションを抱えており、移行作業のことを不安に感じているため、「ポータビリティはハイブリッドクラウドにおける苦悩の震源地となっている・・・こういったワークロードの移行が容易になるのであれば、大企業はそれほど身構えなくてもすむようになるだろう」という。
クラウドコンピューティングの本当のメリット、すなわち柔軟なスケーラビリティと柔軟な能力を得るためには、サービスプロバイダーによるアプリケーションのライフサイクルを通じた自動化が必要となる。こういったライフサイクルには、仮想マシンのプロビジョニングや、ハイパーバイザのアップグレードといったものも含まれる。これによって個々のサーバに手を下す必要が無くなるわけである。また、RackspaceのEngates氏は、IPアドレスを異なるワークロード上で安全かつセキュアな形で何度も再利用できるようなマルチテナンシーサーバが、クラウドプロバイダーによって設計されることになると述べている。