日本マイクロソフトの樋口泰行社長が岩手県を訪れた。すでに今年2回目だ。
前回は4月上旬にこの地を訪れ、大船渡市、陸前高田市をはじめとする沿岸部の被災地を訪問した。被災から1年経っても仮設住宅住まいを続ける高齢者の様子などを目の当たりにし、「ICTがもっと復興の役に立てないか。日本マイクロソフトとしてなにができるのか、改めて感じさせられた」と樋口社長は語る。
そうしたなか、今年2回目となる6月4日の岩手県への訪問は、岩手県との「地域活性化協働プログラム」における提携が目的であり、そのなかで「IT人材育成サポートプログラム」「NPO基盤強化プログラム」「高齢者向けICT活用推進プログラム」「教育分野人材育成プログラム」の4つの施策を一気に実行する。
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「単発の支援策ではなく、包括的なプログラムで取り組むのが今回の支援。これまでの地域活性化協働プログラムとは異なり、被災地を対象としていること、震災復興を最優先課題とする点で大きく異なる。身が引き締まる思い」とする。
好評連載中の「ZDNet Japan トップインタビュー」、今回は樋口社長に岩手県との地域活性化協働プログラムの取り組みについて聞いた。
より踏み込んだ支援を
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岩手県庁で達増拓也・岩手県知事とともに覚書に調印した樋口社長。「岩手県は県土も広く、県庁がある内陸部と津波被害を受けた沿岸部との距離もある。ICTの活用によって享受されるメリットが大きいと感じた」と語る。
県庁がある盛岡市から県内の主要な都市までは、車を利用すればだいたい2時間かかるというのが岩手県の常識。津波による被害が大きかった沿岸部までの距離も長い。
「物理的距離や時間的距離を解決できるのがICT。だが、情報を発信する側も受け取る側も、一定のスキルを持つことがより効果を生み出すことにつながる。そして、今回の提携ではICTスキルの育成だけではなく、利活用にまで踏み込んだ支援を行っていくことが大切である」と語る。
日本マイクロソフトは、3年前から10県と地域活性化協働プログラムを実施してきた。いずれも1年間の期間限定の支援プログラムであり、年平均3〜4県と提携した計算になる。
しかし今年度の場合、地域活性化協働プログラムの提携は、いまのところ岩手県だけだ。それだけ岩手県に集中的に支援を振り向けていることがわかる。
樋口社長も「今年は重点的に岩手県を支援していくことになる」とコメントする。