テクノロジ業界の専門家は、一部の技術職に対する需要は、組織がクラウドコンピューティングに移行するにつれ、向こう10年間で劇的に減ると予想している。
Gartnerが実施した2011 CIO Agenda Surveyによれば、2020年には、大半の組織が自社のITサービスの半分以上をクラウドに頼ることになるだろう。
組織がクラウドに移行してしまえば、ネットワークやストレージ、サーバといったITインフラの個々の要素の管理や整備に必要とされていたスタッフの数は削減可能で、その規模はクラウドが構築されている仮想化インフラによって自動化できる規模に応じて大きくなる。
Gartnerのレポート「New Skills for the New IT」によれば、現在IT資源の70%がITインフラの運用に投じられているが、最終的に2020年には、運用に投じられるのは資源のわずか35%になるという。
サーバ管理者は不要になるか
Gartnerの調査ディレクターであるJohn Rivard氏は、特定のインフラを専門とする人たちの役割は残るが、一般的に言えばITプロフェッショナルは会社の需要をつかむ必要があり、さもなければ「会社は彼らをバイパスするようになるだろう」と述べている。
「クラウドとは、ITの差別化されない側面をコモディティ化するものであり、ビジネスを差別化するにあたって、ITの役割は大きくなる一方だ」と同氏は言う。
「仕事の種類は確実に変化する。自動化は拡大し、クラウドの機能も大きくなり、人が直接行う管理作業は減っていくはずだ。おしなべて言えば、わたしが話をしているすべての組織が、『どうすれば日常的な運用に必要な資源を減らし、ビジネスを推し進めるための資源を増やせるか?』ということを追い求めている」(Rivard氏)
Rivard氏は、今後Wintelサーバを隅から隅まで知り尽くし、技術マニュアルを抱えて眠るといった種類のITスペシャリストへの需要は減り、ITの複数の領域とビジネスに長けており、新たな情報を「吸収」することを得意とする「万能技術者」への需要が高まると述べている。
Gartnerのレポートの表現を借りれば、「新しいITに向けてのスキルセットは、多くの場合、ビジネススキルとITスキルのハイブリッドになる」だろう。
同レポートによれば、この新しい世界では、ビジネスデザイナーと技術イノベーターがITを活用して新たなビジネスのやりかたを支え、情報アーキテクトとプロセスデザイナーがプロセスの自動化を推し進める協調的なビジネスプロセスの設計と実装を行い、ソリューションインテグレーター、サービス仲介者、要求マネジャーは様々なクラウドおよび非クラウドベンダーを管理する。