Appleの営業担当者が企業に次々と攻勢をかけている--ここで言う営業担当者とはAppleの従業員ではない。エンドユーザーのことである。
あなたが企業のITマネージャーを務めているのであれば、大手ITベンダーから電話がかかってきたり、営業が訪問してきたり、電子メールや郵便物が届けられたりしているはずだ。こういったベンダーの例として、IBMやOracle、Microsoft、Dell、Hewlett-Packard(HP)、Cisco Systems、EMCなどを挙げることができる。もちろん、あなたの業界に特化したベンダーについては言うまでもないだろう。しかし、Appleからの営業行為はどの程度あっただろうか?
Appleからの営業行為があったとしても、その数は他の企業とは比べものにならないほど少ないはずだ。
(提供:Wikipedia)
とは言うものの、あなたの会社にはAppleの営業担当者が次々と攻勢をかけてきている。念のために書いておくが、それはAppleの従業員ではない。その多くはAppleの顧客なのだ(そして彼らは他のベンダーの営業担当者が束になっても立ち向かえないほど強力なのである)。あなたの会社の従業員も、Appleのデバイスを毎日職場に持ち込み、使用しているはずだ。さらに言えば、あなたの会社に毎週訪れてくるプロ意識の高い営業担当者もおそらく、自らの仕事のためにAppleのデバイスを使用していることだろう。
ではここで、労せずに企業への営業を成功させる方法について書いてみよう。世界に名だたる大手ITベンダーであれば、企業向けの積極果敢な攻めの戦略を有している。また、営業部門全体が一丸となって、企業への売り込みに全力を傾けている。さらに、彼らは企業での使用に耐え得る製品も用意している。
一方、筆者が知る限りにおいて、Appleは企業向けの戦略というものを有していない。実際のところ、Steve Jobs氏は法人市場嫌いを公言したことでも有名である。同社は個人やコンシューマーに注力した製品を生み出す、ただそれだけだ。それにもかかわらず、企業に対して他のベンダーよりも大きなインパクトを与えることになったのだ。そしてエンドユーザー、すなわちクライアント側のセグメントを、1980年代初頭におけるPCの登場時に匹敵するほど震撼させることになったわけである。その結果、Appleのデバイスは「Windows」パソコンのように、オフィス環境内のどこでも見かける存在になりつつある。