今週の明言--節電とBCPに向けた「三種の神器」

松岡功

2012-06-20 11:36

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今週は、日本HPの会見でゲストスピーチを行った東京大学大学院 情報理工学系研究科 江崎浩教授と、プライベートイベントで基調講演を行ったSAPのJim Hagemann Snabe 共同CEOの言葉を紹介する。(ZDNet Japan編集部)

「節電とBCPを梃子にしたスマートオフィスの実現には、LED、見せる化、クラウドが“3種の神器”となる」
(東京大学大学院 情報理工学系研究科 江崎 浩 教授)

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は6月15日、LANケーブル経由で電源供給が行えるオールインワンタイプのシンクライアント端末を発表した。江崎氏の発言は、その発表会見のゲストスピーカーとして、自らが代表を務める東大グリーンICTプロジェクトでの通説を披露したものである。

東京大学大学院 情報理工学系研究科 江崎 浩 教授
東京大学大学院 情報理工学系研究科 江崎 浩 教授

 新製品の「HP t410 All-in-One Smart Zero Client」は、18.5インチのワイド液晶ディスプレイを搭載した一体型モデルのシンクライアント端末。PoE(Power over Ethernet)対応のスイッチLANケーブルをつなぐだけで給電やデスクトップ画面のデータ転送などができ、ACアダプターなどの電源ユニットなしで利用できるという。

 新製品の消費電力は13W以下で、同社が2年前に発売した本体とディスプレイ分離型のデスクトップPCに比べて20分の1程度になる。その一方で、米3Mが開発した最新の液晶ディスプレイ用フィルムを採用し、少ない電力でも画面の鮮明さを保てるようにしたとしている。

 同社によると、LANケーブル1本で動作するシンクライアント端末は世界初という。その意義について江崎氏は、「コンピュータネットワークが真の意味で自律したということ。リスクマネジメントの観点からも大きな効果が期待できるだろう」と語った。

 こうした節電効果の高いシンクライアント端末が、これから一層利用されるICT環境といえば、まさしくクラウドである。そのクラウドも1つに挙げられた“3種の神器”を、江崎氏は「LEDを使った明るいオフィス」「見せる化を使った安全なオフィス」「クラウドを使った快適なオフィス」と表現してみせた。

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