本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今週は、今後の事業活動への意気込みを語った一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会の大塚会長と、プライベートイベントで基調講演を行った米Adobe SystemsのRencherシニアバイスプレジデントの言葉を紹介する。(ZDNet Japan編集部)
「企業が今、対応を迫られているコスト削減、省電力、生産性向上の3つの課題に対し、ITを駆使してお役に立てるように業界団体として精一杯活動していきたい」(一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会 大塚裕司 会長)
日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は6月7日、都内ホテルで定時総会を開き、今後の事業活動などを決定した。大塚氏の発言は、定時総会後の懇親会での会長挨拶で、同協会の今後の事業活動への意気込みを語ったものである。
同協会は、1991年に販売店4社が発起人となり会員15社で任意団体として発足。1996年に社団法人としての認可を得て、2011年4月に公益法人改革法による非営利型一般社団法人へと移行した。システムインテグレーターやディストリビューターなどの正会員、PCメーカーや周辺機器メーカーなどの賛助会員を合わせて150社を超える関連企業が加盟している。当初はPC販売が主体だったため量販店の参加も多かったが、現在では正会員の大半がシステム系販売店となっている。
ユニークなのは、IT分野での立ち位置だ。IT業界関連団体とユーザー関連団体の間に位置付けられるのは同協会だけである。したがって、その理念も「ITを活用するお客様に一番近い位置にいる業界団体として、利用者の目線に立ち、ITの社会的普及と活用促進に向けて相互に協力し活動する」としている。
大塚商会の社長として同協会会長を務める大塚氏は、懇親会の挨拶でこうも語った。
「景気低迷が長引く中で企業のIT投資も抑えられてきたが、今年に入って回復の兆しが出てきた。そうした中で、とくに当協会の会員にとって大事なお客様である中小規模の企業がいかに元気になるかが、今後の日本経済の活性化を左右することになる」
冒頭の発言は、これに続くものである。
折しも6月1日、楽天の三木谷浩史社長が旗振り役となり、インターネット関連企業などで構成する一般社団法人「新経済連盟(新経連)」が発足した。2010年2月に設立した「eビジネス推進連合会」の名称を変更したもので、楽天やサイバーエージェント、グーグルなど779社が会員に名を連ねている。
新団体では、ITを中核としたあらゆる産業でのイノベーションや成長の実現を掲げるとともに、医療のネット販売を禁止する薬事法の規制緩和、ネットを活用した選挙の解禁などの政策提言も行っていくという。