NTTドコモは、iPhoneを扱うのか。
iPhone発売以来、常に話題に上がっているテーマだ。2012年6月19日に行われた株主総会でも、株主からiPhoneの取り扱いについて質問が飛んだ。この質問は毎年恒例となってきた。
これに対して、この日の総会後の取締役会まで社長を務めていた山田隆持氏は「今のドコモの環境、戦略では、iPhoneの導入は難しい」とコメントした。
それには3つの理由がある。
1つは、iPhoneが打ち出している垂直統合モデルの手法がドコモの戦略と合致しないという点だ。iPhoneは、アップルがサービスをコントロールしており、iPhoneでしか利用できないサービスが多い。iPhone用に開発されたアプリケーションは、AppStoreを通じて提供され、さらにSiriなどのサービスもiPhoneでのみ利用できる。
6月20日に新社長として会見に臨んだ加藤薫氏もiPhoneを否定しているわけではない
しかし、ドコモが目指しているのは、複数のスマートフォン端末で利用できるサービスの実現。Siriと同様の機能を持つ「しゃべってコンシェル」は、複数のAndroid端末で利用できるようになっており、ここにドコモとアップルが目指す方向性の違いがある。ドコモでは、端末によらずに、さまざまなサービスが利用できる「ネットワーククラウド」戦略を推進しており、iPhoneはこの枠からはみ出すことになる。
2つめは、ドコモ固有(あるいは日本固有といってもいいが)のサービスが、iPhoneには搭載できないという点である。
山田前社長は「ドコモのお客様からは、おサイフケータイが欲しい、あるいはワンセグが欲しいといった声が届いている。しかし、iPhoneではこれができない。オープンOSであるAndroidでは、自由にサービスを作り込めるが、アップルではそれが許してもらえない」とする。