NTTドコモがiPhoneを展開しない3つの理由

大河原克行

2012-06-22 11:08

 NTTドコモは、iPhoneを扱うのか。

 iPhone発売以来、常に話題に上がっているテーマだ。2012年6月19日に行われた株主総会でも、株主からiPhoneの取り扱いについて質問が飛んだ。この質問は毎年恒例となってきた。

 これに対して、この日の総会後の取締役会まで社長を務めていた山田隆持氏は「今のドコモの環境、戦略では、iPhoneの導入は難しい」とコメントした。

 それには3つの理由がある。

 1つは、iPhoneが打ち出している垂直統合モデルの手法がドコモの戦略と合致しないという点だ。iPhoneは、アップルがサービスをコントロールしており、iPhoneでしか利用できないサービスが多い。iPhone用に開発されたアプリケーションは、AppStoreを通じて提供され、さらにSiriなどのサービスもiPhoneでのみ利用できる。

6月20日に新社長として会見に臨んだ加藤薫氏もiPhoneを否定しているわけではない
6月20日に新社長として会見に臨んだ加藤薫氏もiPhoneを否定しているわけではない

 しかし、ドコモが目指しているのは、複数のスマートフォン端末で利用できるサービスの実現。Siriと同様の機能を持つ「しゃべってコンシェル」は、複数のAndroid端末で利用できるようになっており、ここにドコモとアップルが目指す方向性の違いがある。ドコモでは、端末によらずに、さまざまなサービスが利用できる「ネットワーククラウド」戦略を推進しており、iPhoneはこの枠からはみ出すことになる。

 2つめは、ドコモ固有(あるいは日本固有といってもいいが)のサービスが、iPhoneには搭載できないという点である。

 山田前社長は「ドコモのお客様からは、おサイフケータイが欲しい、あるいはワンセグが欲しいといった声が届いている。しかし、iPhoneではこれができない。オープンOSであるAndroidでは、自由にサービスを作り込めるが、アップルではそれが許してもらえない」とする。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]