Google I/O 2012で発表された「Google Compute Engine」をはじめとする企業向けクラウドプラットフォームサービスに関して、米Google 新製品・ソリューション担当ディレクターのShailesh Rao氏が説明した。
Rao氏は、「過去にはIaaSを提供しないと語っていた時期もあったが、いま多くの顧客から求められているのがIaaS。Googleがこれを提供することで、クラウドコンピューティングを抜本的に変えることができる。これまでにもGoogleは、抜本的に仕組みや技術を変える際に、新たなサービスを提供してきた。IaaSも同じ考え方のもとで取り組んだものである。Google Compute Engineは、信頼性、高機能性、効率性、スケーラビリティにおいて、他社のサービスを凌駕するものであり、またコストの観点でも高い競争力を持つ」などと語った。
Googleでは2008年以降、外部の開発者や企業がアプリケーションやウェブサイトの構築、データの保存や分析にGoogleのクラウドを活用できるように、データセンターのインフラの開放を開始しており、これまでに「Google App Engine」「Google Cloud Storage」「Google BigQuery」などのサービスを投入。世界で400万以上の企業が、Googleのクラウドサービスを利用しているという。
先頃開催したGoogle I/O 2012では、新たにGoogle Compute Engineを発表。IaaS分野にも踏み出した。
Shailesh Rao氏
Google Compute Engineは、Googleが提供する各種サービスを支えるデータセンターにおいて、Linux仮想マシンを稼働させることが可能なIaaSで、「柔軟性と使いやすさに加え、問題解決の考え方を根本から変えるほどの大規模なコンピューティングリソースの利用が可能になる」としている。
拡張性では、Googleが運用している1日に数十億件に達する検索処理や、膨大なウェブコンテンツのインデックス構築を実現している大規模コンピューティング環境の能力を活用し、ユーザーは膨大な処理能力を必要とするコンピューティングリソースの増強が可能となる。
「わずか2分半で7万2000コアという大規模な計算クラスタを構築できるのは、Google Compute Engine以外にない」とする。
そのほか「Googleのデータセンターでは、洗練されたネットワーク技術を採用することで高い安定性を確保。高パフォーマンスを維持できるほか、アプリケーションが混在する環境であっても、アプリケーションの最適なチューニングによって処理の中断やパフォーマンス低下を避けられる。Googleが持つ世界最大規模のデータセンターによって、『規模の経済』の効果があり、他社に比べ2分の1程度のコストで利用できる」などとした。
また、新たな永続化ブロックデバイスをローカルディスクとしてデータ保存に利用できるほか、クラウド上で利用できるGoogle Cloud Storage にもデータを保存できる。
Google Compute Engineは、限定プレビュー版として提供する意向だが、今後クラウドに必要なすべての機能を提供するという。
一方、Rao氏はPaaSの提供によってデベロッパーの開発効率を高めていることにも触れたほか、翻訳サービスをはじとめする各種サービスを提供していることに関連して、Google App Engineについても言及。「1日に75億近いトランザクションがあるほか、月に2兆ものデータストアへのアクセスがある。また、50万のアクティブなアプリケーションがあり、複雑な要求にも応えられる」などとした。
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