フォードの復活にITが果たした役割 - (page 2)

Jason Hiner (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-07-18 07:30

 最後の項目こそ、Mulally氏が「One Ford」と名付けた取り組みに発展したものだ。また、IT部門に一番重要なミッションを与えたのもこの取り組みだった。

One Ford、そして「One IT」

 「One Fordで、事業の目標が完全に変わった」とSmither氏は言う。「Mulally氏は2006年にOne Ford戦略を定め、そのOne Ford戦略は2007年の初め頃に実際に導入された。われわれには、それと平行する戦略である『One IT』と名付けられた戦略があった」

 One ITの要素はMulally氏が着任する以前からいろいろと検討されていたが、One Ford戦略との相乗効果によってOne IT戦略に関する考え方は開花し、優先順位の高い戦略となり、障害を乗り越えるのに必要な幹部のサポートが得られた。それでも、最初はかなり乱暴に始まった。

 Smither氏は次のように説明した。「初めの2007年、2008年、そして2009年初期の生き残りの時期には、事業の再編と生き残れる場所を得ることに多くの力が注がれた。Fordの古いビジネスモデルでは、事業の観点から各地域に大きな自律性が与えられており、IT環境も非常に複雑でかなり断片化していた。われわれはOne Ford戦略以前からOne ITの取り組みを持っていたが、これは基本的にインフラに向けられたもので、手持ちのアプリケーションや事業部門とのやりとりは対象としていなかった。生き残りフェーズと現在の成長フェーズ(こちらの方がよほど刺激的だが)に至るまで、われわれの力はOne Fordを可能にするということに注がれた。これは消費者により多様な製品を提供できるよう、社内の共通化と統合化を大きく進めるということだ」

 当初、IT部門にとっては、これは多額の経費削減を意味した。しかしこれは、会社の収支改善だけを狙う類の経費削減ではなかった。その多くは、保守に取られていた資源を解放し、革新的な新しいプロジェクトに投資できるようにするためのものだった。

 「2006年から2011年までの期間を取ってみると、われわれは基本的にIT運用経費の30%を削減した。これは数億ドル規模だ」とSmither氏は述べた。「これは行動の組み合わせだった。われわれは厳しい時期に一定の人員削減を行った。社のデータセンターも整理統合した。以前は6箇所の施設を使っていたが、今では2つになっている。また、一部のレガシーアプリケーションの利用をやめた。さらにビジネスプロセスを共通化した。以前は多くの場合、北米、欧州、アジア太平洋で、基本的に同じことをするために、少なくとも3つのアプリケーションがあった。現在はずっと共通化が進んでいる。まだ完全には終わっていない。まだやることは残されているが、手持ちのアプリケーションリストには以前よりずっと共通のものが多くなっている。

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