アジャイル開発の見積もり作業--利害関係者の期待に応えるための秘訣

Rick Freedman (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 2012年08月10日 07時30分

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 アジャイル開発の考え方と、従来から用いられているプロジェクトの計画手法や予算策定手法は真っ向から対立する場合がある。本記事では、こういった場合に行えることを3つ紹介する。

 アジャイルな見積もり、およびプロジェクト計画やイテレーション計画といったロードマップの作成工程には、対立と誤解の種が数多く潜んでいる。クライアントや、事業の後ろだてとなってくれる人たち(スポンサー)、特に従来のプロジェクトマネジメント手法に精通している人たちは、ロードマップがプロジェクト見積もりを算出するためのものだという前提を置いているため、ロードマップの立案を終えた時点で一足飛びに「コストはどれだけかかるのか?」という難問の答えを求めようとする場合がしばしばある。

 ではここで、ロードマップの立案工程における成果物を洗い出してみよう。成果物は通常の場合、製品の長期的なビジョン(一般的には3~5年)であり、その中で製品の今後の方向性や、どのような機能をどれくらいの期間で開発、実装していくのか、全体的な戦略目標に対して個々のプログラムやプロジェクトがどのように当てはまるのか、チーム間やリーダー間でどのように取り組みを分担していくのかといった点を考慮していくことになる。あるチームはフリップチャート上やホワイトボード上に実際のロードマップを描き出し、また別のチームはソフトウェア製品を使用してそういった作業を行うことだろう。

 例えば、アプリケーションスイートにソーシャルネットワーキングのコンポーネントを組み込むというプロジェクトの場合、地理的条件に従ってロードマップを立案し、2013年には米国、2014年には欧州、2015年にはアジアやアフリカ、中東といった具合に配備していくことになるだろう。また別のアプローチとして、対象顧客セグメントに基づいて配備していくこともできるはずだ。ここでのポイントは、検討や計画の立案を戦略レベルで行い、要員や市場に関する重要な決定を行う必要が出てきた時にのみ戦術レベルにブレークダウンするというところにある。この部分にこそ対立や失望のきっかけが潜んでいるのだ。

 こういった計画や目標に従って実際の段取りを決め始めると、スポンサーから投資の定量化が求められるようになるのは当然と言えるだろう。この際、アジャイルの考え方が会社の幹部レベルにまで浸透していなければ、実際の作業計画を定めるずっと前に予算を決定しておくよう要求する最高財務責任者(CFO)や財務チームとともにプロジェクトを遂行していく羽目になる場合もある。株式会社や、何らかの業界規制に従わなければならない会社であれば、必要となる投資をある程度の精度で予測せざるを得ないだろう。しかしアジャイルチームの観点から見た場合、高度な戦略を練れば練るほど、そして製品を革新的なものにすればするほど、機能一式や目標、作業計画の大きな手直しが後の段階で発生していくことになるのである。要するに、こういった部分でアジャイル開発の考え方と、従来手法による計画策定や予算策定が真正面からぶつかり合うことになるわけだ。

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