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エネルギーの『見える化』が生み出すデータセンターの効率化:第5回--データセンターの省エネ:IT機器を省エネするとPUEは悪化する?

佐志田伸夫 シュナイダーエレクトリック株式会社

2012-08-30 12:00

 データセンターの省エネ度合いを表す指標としては、米国で発足したグリーン・グリッドが提唱したPUEが広く定着しています。

 PUEの定義は判り易く、データセンターでIT機器に消費される電力を1として、それ以外の設備などで消費される電力・損失を足したものです。IT機器の消費電力が一定の場合には、データセンター内の冷却装置など、設備側の消費エネルギーを削減すれば、PUEが1に近づいて省エネが向上しているという評価ができます。

 ところが、仮想化などでサーバ等のIT機器の省エネを進める一方、これに対応した設備側の省エネを実施しなければ、せっかくデータセンター全体としての省エネが進んでも、評価指標であるPUEは悪化する、という矛盾が発生します。例えば、PUE=1.7のデータセンターで、サーバの消費電力量(=発熱量)が50%低減されたとしても、サーバ以外の消費電力が減らなければ、PUE=2.4になり、データセンター全体の消費電力は30%削減されるだけになります(図1)。

図1 サーバ省エネ時のPUEの変化 図1 サーバ省エネ時のPUEの変化
※クリックで拡大画像を表示

 これは、物理的にはデータセンター内に冷やしすぎの場所が発生したり、冷却風量が多すぎたりしていることを示しています。逆に、送風機のファン風量をIT機器の省エネ分以上に低下させるなど、設備側の省エネを過度に進めると、データセンター内にホットスポットが発生してしまいます。

 これに対応するためには、PUEの「スケーラビリティ」という考え方を取り入れる必要があります。

 理想的には、IT機器の消費電力が減少する時に、データセンターの設備の消費電力・損失もそれに比例して減少するべきで、この場合にはIT機器の消費電力にかかわらず、PUEは一定の値になります。実際のデータセンターで、IT機器の消費電力の変動に対してデータセンター全体の消費電力をプロットすると、図2のようになります。グリーン・グリッドでは、このようにプロットした点の直線近似の傾きと、原点を通る理想的なPUEの比を「PUEスケーラビリティ」と定義しています。PUEスケーラビリティが100%に近づくほど、IT機器の消費電力が減った場合に設備の電力も小さくなる、「理想的なデータセンター」に近いことを示します。

図2 PUEスケーラビリティ説明図 図2 PUEスケーラビリティ説明図
※クリックで拡大画像を表示

 次回は、データセンターのIT機器と設備の省エネを進める場合に必須の「データセンターの見える化」について解説します。

参考資料:
グリーン・グリッド ホワイトペーパー
#20 PUE拡張性スケーラビリティ指標および統計分析
シュナイダーエレクトリック株式会社 ホワイトペーパー
#43 データセンタとサーバルームの動的な電力変動

佐志田伸夫氏
著者紹介:

シュナイダーエレクトリック株式会社 取締役 佐志田伸夫
技術士(電気電子部門)

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