編集部からのお知らせ
令和時代のCIOとは?
「ニューノーマルとIT」新着記事一覧
三国大洋のスクラップブック

実務家ティム・クックの課題、あるいはアップルの自己革新の可能性

三国大洋

2012-10-05 12:00


極めて優秀な実務家であるアップルのティム・クックCEO
極めて優秀な実務家であるアップルのティム・クックCEO

 スティーブ・ジョブズが亡くなってから10月5日(米国時間)でまる一年になる。

 これに当て込んだ記事が今週半ばからぽつぽつと目立つようになってきた。おそらく一周忌の当日にあたる日本時間の明日にはもっといろいろ出てくることだろう。

 今回はそうした記事の中から『Bloomberg Businessweek』が10月3日付けでウェブサイトに掲載した記事「Mapping a Path Out of Steve Jobs's Shadow」を紹介しつつ、話を進めてみたい。Businessweekの記事は、アップルのこの1年の動きと今後の課題の総括といった内容。書き手は昨年も同誌の「ジョブズ追悼記事」で腕を振るったブラッド・ストーンを含む三名。Businessweekとしても総力戦で調査し、まとめた記事なのかも知れない。

 この記事にあるいくつかの“takeaway”(「土産話」的なティップス)については、英語圏の多くのメディアで言及されているので、どこかで日本語の記事になっているかもしれない。たとえば、ハードウェア担当幹部のボブ・マンスフィールドが、今年になって退社を決意するもティム・クックCEOが翻意させ、1カ月あたり200万ドルの「顧問料」を払うことになったという話がある。マンスフィールドの後任に指名されたダン・リッチオには「まだ荷が重すぎる仕事」だから何とか彼を引き留めてほしいという要求が、ハードウェア部門の上級幹部らからクックCEOに突きつけられたようだ(註1)。

 あるいは、いまだに騒動が尾を引いている自社製地図サービスへの切替の話もある。そもそもジョブズが音頭をとって始めたこのプロジェクト、ジョブズの命を受けた「親衛隊長」のスコット・フォーストルが、iOS開発の時と同じように再び社内で秘密チームを組織し、開発作業を進めた(開発チームは「ビルディング2の3階」に拠点を構えたという具体的な情報まであるが、例の『ファイト・クラブ』のポスターが貼られていたかどうかまでは不明だ)(註2)。また、ジョブズはiOS版のSafariからGoogle検索も外したいと思い、実際に検討を進めてもみたが、「こればかりはユーザーからの反発必至」と判断。結局は変更を見送ることにしたとも書かれている(註3)。

 さらに「現行のものよりもっと薄くて軽い製品をつくるために、次世代のレーザーを使った切断技術の研究開発に今年10億ドルを投じる予定」(註4)、「Macに採用しているプロセッサを現在のインテル製品から、将来的には自社設計のものに切り替えることもすでに検討」(註5)、「会社や事業の規模が以前よりも大きくなり、社内での(部門間の)争いも増え、それが不健全なレベルに達している」(註6)など、ほかにもいくつか人目を惹きそうな話も含まれている(註7)。(次ページ「クックCEOのプラグマティズムでどこまでいけるのか」)

註1:ボブ・マンスフィールドの去就をめぐるエピソード

According to three people familiar with the sequence of events, several senior engineers on Mansfield's team vociferously complained to Cook about reporting to his replacement, Dan Riccio, who they felt was unprepared for the magnitude of the role. In response, Cook approached Mansfield and offered him an exorbitant package of cash and stock worth around $2 million a month to stay on at Apple as an adviser and help manage the hardware engineering team.


註2:スコット・フォーストルが率いた地図プロジェクト

Apple insiders say Jobs himself initiated the mapping project, putting mobile software chief Forstall in charge, and he installed a secret team on the third floor of Building 2 on Apple's campus to replace Google Maps on the iPhone. At the time of his death, Jobs had come to loathe Google, which he felt was copying features of the iPhone while withholding a key feature of Google Maps that allows smartphones to dictate turn-by-turn directions aloud.


註3:ジョブズでも外せなかったGoogle検索

Jobs also discussed pulling Google search from the iPhone, but figured that customers would reject that move, according to two former Apple executives.


註4:切断技術の研究開発に10億ドルを投資

Apple plans to spend $1 billion this year researching next-generation laser-cutting technologies that can create thinner, lighter devices, up from several hundred million dollars a few years ago.


註5:Intel Macではなくなる?

Apple has also deliberated over moving away from Intel chips in the Macintosh, say two people familiar with these discussions. Such a shift would be difficult and isn't imminent, though it would allow Apple to further distinguish its laptops and desktops from competitors that run Intel's (INTC) chips and Microsoft's Windows software.


註6:アップルの官僚化が不健全なレベルに達している

"Because of its size and a few key personalities, there's more organizational infighting than is healthy," says Brett Halle, a 21-year Apple veteran who left earlier this year. "It needs to be brought into check."


註7:Businessweekの信頼性

Businessweekくらいの格の媒体であれば当然のことだろうが、いずれの話もきちんと裏付けをとったもの——しかもたいていは複数の情報源から——である点がいい意味で要注意かもしれない。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

特集

CIO

モバイル

セキュリティ

スペシャル

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]