データセンターがもたらす信頼性の向上やコストの節約といった利点は、よくある落とし穴や計画時の失敗によって帳消しにされてしまう。本記事では、こういった落とし穴や失敗を避けるために注意しておくべき点を解説する。
あなたが中小企業に勤めているのであれば、既存のデータセンターからスペースをレンタルしたり、自らでデータセンターを構築するなどの手段でサーバをデータセンターに移行することを検討しているかもしれない。この場合、採用する手段にかかわらず、過去に多くの人々がはまった落とし穴を避けることが重要になるはずだ。
ありがたいことに他の人が先に失敗してくれているため、同じ失敗を繰り返さなくても済むはずだ。しかし、何を避ければよいのかは、どうすれば分かるのだろうか?以下では、気を付けておくべきよくある落とし穴を10個挙げている。
#1:不十分な仮想化
最初に言っておきたいことがある。まだ仮想化を行っていないのであれば、あなたは既に遅れを取っていると言える。そして、データセンターを採用しているにもかかわらず仮想化を行っていないのであれば、遅れを取っているだけでなく必要以上にコストをかけていると言える。仮想サーバをホストする1台のマシンを用意すれば済むのに、なぜ作業ごとにハードウェアを用意するのだろうか?仮想化によってコストを削減できるだけでなく、スペースを有効利用することもでき、(理想的には)はるかに信頼性の高い環境を作り出せるようになる。
#2:拡張性に対する甘い見込み
データセンターの構築時に拡張性を十分考慮しておかないと、後々面倒なことになる。このため、今後の成長を見越したうえでラックを手配したり、サーバ上に十分な量のRAMやディスクを搭載できる余地を確保しておいたり、データセンター用のスペースを十分に用意しておくのがよいだろう。筆者の経験から言うと、現在必要な量の2倍を準備しておくのがよいだろう。これで拡張性に関して十分な備えができたと言える。
#3:クラウドリソースの欠如
クラウドを否定する人々は数多くいる。しかし実際のところ、クラウドはあらゆる中規模企業が活用すべき柔軟性に富んだリソースなのだ。あなたは「Ubuntu Server」を用いて自社でクラウドを構築したり、Amazonからクラウド領域を購入することもできる。いずれの方法でも、柔軟性の非常に高いデータセンターエクスペリエンスを自らで作り出すことができる。クラウドを使用する目的がストレージのみという場合であっても、必要に応じてストレージを拡張できるようになり、新しいハードウェアを定期的に追加せずともよくなるわけだ。
#4:サーバ管理の貧弱さ
管理の貧弱なサーバがどういった結果をもたらすのかは、今までにも見たことがあるはずであり、また自らのサーバ管理が貧弱であったという経験を持っている人もいるはずだ。データセンターのサーバ管理が貧弱である場合、事態は急激に悪化しかねない。このため毎日、サーバが最新になっていることと、バックアップの実行、バックアップバッテリへの接続を確認してほしい。サーバがデータセンターに設置されているというだけで、問題が発生しなくなるわけではないのである。