データがハードにひもづかない時代、DWHが目指すべきは「オープン」なアプローチ - (page 3)

五味明子

2013-01-25 14:46


顧客に選択の自由度を提供するためにもオープンであることにこだわる

 Verticaを採用する企業の傾向としては、オンラインゲーム企業のように「急速な成長を遂げているため、扱うデータ量も膨大になり、MySQLなどで処理するのは限界を感じている」企業が多いとSelland氏は語る。たとえばVerticaユーザーであるZyngaの場合、1日にロードするデータ量は2〜3テラバイト、これは従来のアーキテクチャで処理することは到底かなわないサイズだ。

 このようにデータが爆発的に増えているのに、分析プラットフォームをリニアに増やしていくことができないという悩みを抱えている企業は多い。従来のアプライアンス中心のEDWでは解決することが難しかった課題をVerticaが解決すると強調する。

 顧客の傾向としてもうひとつ顕著なのが「Hadoopを使いたい」というユーザーが増えていることだ。Hadoopへの関心がこれまでになく高まっており、Verticaも6.1からHadoopをサポートしている。「Hadoopは大量の生データを収集/格納することに適しているが、分析は苦手としていた。その部分をRDBMSであるVerticaが補完すれば、ビッグデータ分析に最適のプラットフォームとなる」とSelland氏。

 なお、HPはエンタープライズHadoopの有力ディストリビューション「Cloudera」と提携しているが、「VerticaはClouderaだけに特化した環境ではない。Apache Hadoopでも他のディストリビューションでも問題なく動く。選択するのは顧客」(Selland氏)としており、各Hadoopディストリビューターと戦略的なパートナーシップを結んでいるDWHベンダが多いなか、すべてのディストリビューションをオープンに扱うと強調するVerticaのHadoop戦略は興味深い。

 ビッグデータ分析のニーズは、企業のITサイドだけではなく、ビジネスサイドからも高まりはじめている。オバマ陣営におけるビッグデータ分析の事例などはその典型だろう。そうなればますます、データベース上で動くアプリケーションが重要になってくるはずだ。

 「Verticaがオープンであることを最も重要としているのは、顧客のどんな要望にも応えるためには柔軟なプラットフォームでなければならないから」とSelland氏は言う。動かないアプリケーションを作らないためにも、データ分析の基盤となるDWH部分はオープンなアーキテクチャであることにこだわる。ビッグデータプラットフォームはパフォーマンスや拡張性に注目が集まりがちだが、これからはオープンであることも重要な選択ポイントになるといえそうだ。

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