「パナソニックとはなにか。本当の姿とはなにか。それを社内外に向けて発信することができた」——。
世界最大の家電見本市「2013 International CES」のオープニングキーノートを務めたパナソニックの津賀一宏社長は、その成果をこう強調する。津賀社長が語る「社員でもパナソニックの本当の姿を理解していない」という現状を打破するきっかけになったともいえそうだ。
米ラスベガスで開催されたCESで、津賀社長がグループインタビューに応じた。各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はパナソニックの津賀社長に、社内改革の進捗や成長戦略を聞いた。
--CESの基調講演を引き受けた理由はなんですか
パナソニック代表取締役社長の津賀一宏氏
これまでもパナソニックはCESで、2004年に大坪(代表取締役会長の大坪文雄氏)が、2008年に坂本(前副社長の坂本俊弘氏)が、それぞれAVC社社長として基調講演を行った経緯があります。
4年というサイクルを考えれば昨年がそれにあたっていたのですが、2012年度を最終年度とした中期経営計画「GT12」を推進中であり、タイミングが悪いという背景がありました。そこで今年、お引き受けさせたいただいたわけです。
こういう機会はなかなか得難いものであり、それならばパナソニックはどんな方向に行くのか、我々のDNAはどこにあり、強みの源泉をどこに作っていくのかを、もう一度考え直して、社内外に発信するいい機会であると考えました。
パナソニックは業績が悪化した状況にあり、同時に転換期にも来ている。こうした時期だからこそ、しっかりと発信していく必要があるともいえます。
--その成果はありましたか
基調講演の結果を自己採点するのは難しいですね。どう受け止めるのかは、それぞれに異なりますから。
ただ、私が言いたかったのは、パナソニックはテレビメーカーであり、テレビ事業で苦しんでいるから厳しい状況にあるという単純なものの見方を是正したかったという点です。「パナソニックの本当の姿はこれである」ということを正しく伝えたかった。私は、社外だけでなく、社内も本当のパナソニックの姿を理解していないと思っています。ですから、今回の基調講演を通じて、社外と社内に正しいパナソニックの姿を伝えていきたいと思っていました。
--パナソニックの正しい姿とはなんですか