圧倒的な存在感を見せつけたサムスンのブース
世界最大の家電見本市「2013 International CES」は、今年も、韓国勢の勢いを感じるものとなった。
とくにその勢いを増したのが、韓国サムスンだ。
セントラルホールの会場中央に陣取られたサムスンブースの規模は他社を圧倒しており、また会場横の通路にも「GALAXY Note II」などを展示するコーナーを用意。さらに開催2日目のサムスン電子 デバイスソリューションビジネス部門 ステファン・ウー社長の基調講演では、ビル・クリントン元大統領が突然ゲストとして登場、聴衆を驚かせた。
勢いを感じさせる演出は、マーケティング戦略に長けたサムスンらしいものだ。
しかし、サムスンは今回のCESで他社を圧倒するような製品や技術を発表したわけではない。記者会見や基調講演で発表された製品をみても、すでに昨年発表されていた55型有機ELテレビの進化版のほか、今年のトレンドとなった4Kテレビでは85型および110型の製品を展示。また、テレビの背面に搭載するだけで、テレビの機能を進化させることができる「Samsung Evolution Kit」、折り曲げられる有機ELディスプレイの「YOUM」などが目立った発表内容だったといえる。
確かにこれらの発表は、競合他社と比べてもサムスンならではの独自性や先進性を示すものだったといえるが、昨年までのCES会場で感じた日本の企業との大きな格差は縮まったように感じられる。
有機ELに関しては、ソニーとパナソニックがそれぞれ56型の有機ELパネルを展示。サムスンのサイズを1インチ超えて世界最大としたほか、4KテレビについてもシャープがICC 4Kテレビに加えて8Kに対応した85型テレビを展示するなど、やはりサムスンの製品展示を凌駕する内容だったといっていい。そして、4Kテレビの普及戦略に関しても東芝が1インチ1万円時代の到来を宣言するなど、4Kテレビで先行する姿勢を見せつけた。
しかし、それでありながらも、CESでのサムスンの存在感は圧倒的であった。世界をリードする電機メーカーであることを、改めて印象づけるものだったといっていい。北米市場におけるマーケティング戦略の差を見せつけられた感は否めない。
韓国メーカーのもうひとつの雄であるLG電子は、定番となりつつある超大型3Dビデオウォールによって、3Dの圧倒的迫力を表現。ブース全体でも3Dにフォーカスした展示を行っていたのが特徴的だ。
すでに3Dの展示を脇役へと位置づけた日本勢とは一線を画す内容だったといっていい。