本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今週は、日本オラクルの遠藤隆雄 代表執行役社長と、IIJの鈴木幸一 代表取締役社長の発言を紹介する。
「2013年は当社のブランド価値をより強く発信していきたい」 (日本オラクル 遠藤隆雄 代表執行役社長)
日本オラクルが1月21日、記者会見を開き、2013年の取り組みについて説明した。遠藤氏の冒頭の発言は、その会見で、注力分野などの説明の前に同社のブランド価値向上への意気込みについて語ったものである。
日本オラクルの遠藤隆雄 代表執行役社長
遠藤氏は冒頭の発言に続けて、「そのココロは、顧客企業のイノベーションを支援する会社へと、ブランドイメージを変革していくことにある」と説明した。
同氏によると、日本オラクルはこれまで顧客企業にとってテクノロジーパートナーだったが、これからはビジネスパートナーにもなれるようにチャレンジするという。
その意図は、「テクノロジーは今後も引き続き強化しつつ、新たなチャレンジとして顧客企業とのパートナーシップを強化し、ビジネスについても直接さまざまな相談や提案活動ができるような信頼関係を築いていく」ことにある。
また、顧客企業へのアプローチについても「当社としては販売パートナーとの関係もあり、直接アプローチすることが難しい部分もあるが、さらに体力をつけて顧客企業の情報システム部門だけでなく事業部門にもアプローチできるようにし、顧客企業のイノベーションを支援していきたい」と力を込めた。
さらに詳しい記者会見の内容については、既に報道されているので関連記事などをご覧いただくとして、ここでは遠藤氏が今年の同社のテーマとして挙げたブランド価値について興味深い調査データがあるので紹介しておこう。
それは、世界企業のブランド価値ランキングである。英WPP傘下の米Millward Brownが毎年恒例で年半ばに発表しているもので、現時点では昨年半ばに発表された内容が2012年版として最新のデータとなっている。
そのテクノロジー部門のランキングをみると、1位がAppleでブランド価値は1829億ドル(前年比19%増)、2位がIBMで1159億ドル(同15%増)、3位がGoogleで1078億ドル(同3%減)、4位がMicrosoftで766億ドル(同2%減)、5位がFacebookで332億ドル(同74%増)、6位がSAPで257億ドル(同1%減)、7位がBaiduで243億ドル(同8%増)、8位がHPで228億ドル(同35%減)、そしてOracleは9位で225億ドル(同16%減)となっている。
Oracleにとっては、このランキングは不本意かもしれない。それもさることながら、このランキングをみて、Oracleと同じエンタープライズ分野という観点で筆者があらためて感じたのはIBMの強さだ。