MicrosoftはAppleと比べると、やや現実的で教条主義の度合いは低いようで、iOSプラットフォームにもいくつかのアプリケーションをリリースしている。これには、比較的重要性の低い写真アプリケーションから、クラウドファイルストレージプラットフォーム「SkyDrive」まで、さまざまなものがある。SkyDriveは主要なすべてのOSで利用可能であり、Microsoftのクラウド戦略はAppleの「iCloud」のような閉じた世界ではなく、オープンプラットフォームを指向している。Microsoftのクラウドストレージサービスはすでにさまざまなプラットフォームでかなり普及しているが、モバイル版のOfficeについては、数カ月前に出ていてもおかしくなかったが、まだ広がっていない。
Microsoftがアプリケーションソフトウェアという同社の原点に立ち戻るのも、悪い戦略ではないかもしれない。Surfaceの最初のバージョンが世界で大成功していないのは明白だ。しかし、人気のあるアプリケーションをさまざまなプラットフォームでリリースすれば、ユーザー企業がどのタブレットを選ぶことになっても、Microsoftはエンタープライズ市場と一般消費者市場の両方で戦う体制を維持できるだろう。
また、高品質なモバイルOffice体験をさまざまなプラットフォームで提供すれば、相乗効果が得られる可能性もある。「iPod」と「iphone」は、どんな広告キャンペーンよりも「Mac」の販売増加に役立ったと言えるが、同様に魅力的なソフトウェアやサービスは、特にエンタープライズ市場では、より深いMicrosoftの体験を売り込むのに役立つだろう。
プラットフォームの終わり
「デスクトップは死んだ」という宣言は、予想ほど早く実現している訳ではないが、多くのアプリケーションがクラウド、またはブラウザベースのインターフェースに移行していることは確かだ。特にモバイル市場では、よく使われるほとんどのアプリケーションのロジックとデータがクラウドベースになっている。タブレットやスマートフォンには、われわれがデスクトップコンピューティングで経験してきた従来のアプリケーションのような資源の余裕がなく、多くの面で、モバイルOSは単なるクラウドベースのアプリケーションを動かすためのものになる可能性がある。これを考えると、Microsoftが再びマルチプラットフォームアプリケーションの資産を活性化させ、これを強力なハードウェアの競争力と組み合わせることができれば、初期の試みがうまくいかなかったとしても、長期的なタブレット戦争に勝利することができるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。