植野正徳氏
「(プラチナバンドを使えるという)アナウンスがあった(2012年)7月ではポジティブなつぶやきが多かった。9月にはポジティブとネガティブが同じ割合となった。これが(2013年)1月になると、ポジティブがネガティブを上回るようになっている」(ソフトバンクモバイルの情報システム本部に所属する植野正徳氏)
これはデータ分析基盤の活用例の一例で、ほかにも「クレームの解析にも活用されている」(植野氏)という。
ソフトバンクモバイルとソフトバンクテレコムで代表取締役副社長兼最高執行責任者(COO)を務めている宮内謙氏は、今回のイベントの講演で、オラクル製品で固めたデータ分析基盤を「50以上のいろいろなプロジェクトで使い回している」ことを明らかにしている。
「グループには960以上のネット企業がいる。個人の属性情報や位置情報、趣味嗜好、(スマートフォンなどの)発着信履歴、家族構成、ネットの利用量などがある。ソフトバンクはビッグデータの宝庫」
宮内謙氏
ソフトバンクグループには「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフーもある。Yahoo! JAPANにアクセスするユーザー6000万人のライフログがあり、そのデータには趣味や嗜好、興味や関心、地域情報、決済情報、ライフイベントなどの情報が含まれており、「Yahoo! JAPANもビッグデータの宝庫」(宮内氏)と強調した。
Yahoo! JAPANでのデータ活用例として宮内氏は、行動ターゲティングの広告配信サービスを挙げている。行動ターゲティングを活用したのが、「スマ得クーポンキャンペーン」だ。このキャンペーンは、Yahoo! JAPANをベースにしたO2O施策。スマートフォンの全機種を対象に、番号ポータビリティでキャリアを変えるユーザーを引き寄せることを狙った。
このキャンペーンでのクリック率は0.35%。「行動ターゲティングを利用しないキャンペーンのクリック率は0.17%。行動ターゲティングを活用することでクリック率を2倍となっている。キャンペーンの目標は、クーポン利用者数で8400人だった。実際の結果は3週間で2万919人となった」(宮内氏)
ソフトバンクグループでは2012年10月から、ソフトバンクテレコムとヤフーが新しいO2Oサービス「ウルトラ集客」を提供している。
ファッションブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、人気製品「ヒートテック」をプレゼントするキャンペーンでウルトラ集客を利用。目標として30万件を掲げていたが、実績は60万2583件となった。
日産もウルトラ集客を活用。Yahoo! JAPANで使えるポイントをプレゼントするというキャンペーンだったが、目標1500件に対して実績は1万1970件となった。シューズメーカーのナイキは、クリアファイルをプレゼントするというキャンペーンでウルトラ集客を活用している。目標3000件に対して4万5368件の実績を残している。
ウルトラ集客は、この3月から小売り大手のイオンが導入した。宮内氏はデータ分析やビッグデータで重要なのは“PDCAサイクル”と説明している。
「PDCAのサイクルを回すのは重要なことだと分かっている。PlanとDoまではできている。しかし、その後のCheckとActionはきちんとできているだろうか。消費者を店舗に来店させるために、ある商品のクーポンを配布したとして、そのクーポンでよかったのか、次は何のクーポンがいいのかを分析することが重要。これがビッグデータの本質だ」
イベントの来場者に向かって宮内氏はこう呼びかけている。
「データは貯めておくべき。将来的に、皆さんが持っているデータをわたしたちが預かって分析したり、わたしたちのシステムを皆さんに貸し出して分析したり、ということもあり得る。皆さんが持っているデータとソフトバンクのデータを突き合わせて分析することで、価値ある情報を見つけられる。ビッグデータを活用すれば、効率のいいマーケティングや販売施策、商品開発ができるようになる」
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