求められる「こだわり」への意識変革
NECの執行役員常務の庄司信一氏はSolution Platformsの背景として、同社の組織変更を説明している。Solution Platformsを主管する“システムプラットフォームビジネスユニット(BU)”は正式には、この4月から稼働している。システムプラットフォームBUは、プラットフォームBUやパーソナル・ソリューションBU、社会インフラソリューションBU、ITサービスBUで、企業向け市場を対象とした製品やサービスを提供する部門を統合したBUになる。
システムプラットフォームBUを担当する庄司氏は、1年前の2012年4月から「Project-SIGMA」に参加。その成果物が今回の垂直統合型システムだ。新製品開発の苦労として庄司氏は以下のように語った。

庄司信一氏
「ハードウェアやソフトウェアを開発する各部門は、自らの製品にこだわりを持っている。だが、ユーザー企業にとっては、その製品は部品でしかない。ユーザー企業が必要としているのはソリューションだ。部品を組み合わせた新製品をユーザー企業に提供することが求められている。各部門に各製品にこだわりを持ちながら、(システム全体に)新しいこだわりを持つことが必要。その意識を変えることが必要だった」
Project-SIGMAによる製品開発は、Solution Platformsだけにとどまらない。Project-SIGMAではシステムの新しいアーキテクチャを目指している。新しいアーキテクチャは「要求の変化に応じ、必要なコンピュータリソースを自由に組み合わせ、仮想システムとして柔軟に提供できるシステム基盤」(庄司氏)という。
新アーキテクチャの中核技術になるのが「Programmable Flow」と「ExpEther」だ。Programmable Flowは「OpenFlow」をベースにしたネットワーク経路制御技術であり、ExpEtherはEthernetを利用してコンピュータの構成を拡張できる技術。新アーキテクチャはCPU、SSDやHDD、I/OカードなどをExpEtherでつなぎ、Programmable Flowで制御するという仕組みになるとしている。
NECはSolution Platformsで3年間500億円の売り上げを目標としている。このうち「30%は海外」(庄司氏)で売り上げる。今回の垂直統合型システムが、同社の既存ビジネスと競合するのではないかという見方について庄司氏は否定的な見解を示した。Solution Platformsは、同社製品で構成されている。他社のハードウェアを活用するかどうかは「これから検討していく」(庄司氏)と説明した。
